初対面の人と話していたら、共通の知り合いが見つかった。「世界は狭いな」と感じる瞬間です。六次の隔たりは、この驚きを、知り合いのつながりをたどる距離として考えるアイデアです。
目次
「六次」は、知り合いの鎖の長さ
人を点、知り合い関係を線として描いてみます。あなたがAさんを知り、AさんがBさんを知っているなら、あなたとBさんは二つの線でつながっています。
六次の隔たりは、こうした鎖を数段たどることで、遠く離れた人にも届くのではないかという考えです。「地球上の全員に、必ず六回以内で届く」という保証として読むと、意味が強すぎます。
数え方にも注意が必要です。あなた→Aさん→Bさん→相手なら、線は三本、間に入る人は二人です。記事によって「距離」と「仲介者の人数」を使い分けているため、数字だけを比べると一段ずれることがあります。
手紙をつないだ、小さな世界の実験
トラヴァースとミルグラムの1969年の研究では、参加者が面識のある人を介して、特定の相手へ書類を届ける方法を調べました。出発点となる人は296人で、目標まで到達した鎖は64本。届いた鎖では、仲介者の人数が平均5.2人でした。
大切なのは、「届いた鎖の平均」だという点です。途中で止まった鎖の長さや、世界中のすべての組み合わせまで測れたわけではありません。それでも、会ったことがない相手に、比較的短い紹介の鎖で届く例を示した研究です。
SNSでも、平均の距離と全員の距離は違う
Facebookは2016年の発表で、同サービスの利用者同士を結ぶ隔たりを平均3.57と報告しました。これは当時のFacebook内のつながりについての値です。世界人口全体の値や、すべての二人組の最大値ではありません。
平均が小さくても、もっと遠い組み合わせはあり得ます。学校の平均通学時間が20分でも、全員が20分以内に住んでいるとは限らないのと同じです。
「知り合いの人数を累乗する」だけでは証明できない
一人に45人の知り合いがいるとして、45を六回掛けると8,303,765,625になります。数字の大きさには驚きますが、これで約83億人の別々の人に届くと結論づけることはできません。
友人の友人には、あなた自身も含まれます。同じ学校の友人同士なら、共通の知り合いが何人もいるでしょう。紹介先が重なるため、枝の本数を数えることと、実際に出会える別々の人数を数えることは違います。
一方で、別の地域や職業の集まりにもつながる人がいると、遠い集団への道が短くなります。身近な人同士が密につながることと、離れた集団への近道があることは両立します。
道が存在することと、道を見つけること
仮に、ある開発者へ三人を介して届く道があっても、自分がその道を知っているとは限りません。最初に誰へ聞けばよいのか分からなければ、近道を使えないこともあります。
さらに、つながりがあることと、紹介してもらえることも別です。相手の都合や信頼関係が関わります。「知り合いの知り合いだから、連絡先を教えてもらえるはず」と期待する話ではありません。
ブログやアプリの紹介を、つなぎやすくする
アプリを知ってもらう場面では、「たくさんの人とつながる」だけでなく、紹介しやすい情報を用意することが役立ちます。何をするアプリなのか、どんな場面で楽しめるのかが分かると、「あの人に合いそう」と思い出してもらいやすくなります。
例えば「面白いゲームを作っています」より、「友達とお題に答えて、投票で楽しむ大喜利ゲームです」の方が、遊ぶ場面を想像できます。画面の画像や短い遊び方があると、紹介する人が説明を背負い込まずに済みます。
六次の隔たりが教えてくれるのは、人類がすでに全員友達だということではありません。遠いように見える相手にも、思いがけない橋がかかっているかもしれないことです。その橋を渡ってきた人に伝わる入口を、このブログにも増やしていきたいと思います。
線の本数と、間にいる人数を数え直す
A→B→C→Dという鎖では、線は3本、仲介者はBとCの2人です。「三段階」と「二人を介する」は同じ鎖を別の単位で表しています。平均を比べる前に、何を数えた数字かをそろえます。
| 数えるもの | この鎖の値 | 確認すること |
|---|---|---|
| グラフ上の距離 | 3本 | 最短の経路か |
| 仲介者の人数 | 2人 | 両端の当事者を除いたか |
