ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
前後即因果の誤謬とは
前後即因果の誤謬とは、ある事象が別の事象の後に起きたことにより、前の事象が後の事象の原因だと錯覚してしまう誤りのことです。
「ぜんごそくいんがのごびゅう」と読みます。
例えば、次のような推論は前後即因果の誤謬に陥っていると言えます。
高校や大学への進学率はかつてないほど高くなってきた。
それでも、少年犯罪は以前より増加している。
よって、若者が教育によって堕落させられていることは明白である。
進学率の増加と、少年犯罪件数の増加は、同時に発生しているかもしれませんが、両者は無関係です。
しかし、この例では、進学率が高くなったことと、少年犯罪が増えたことに因果関係があると錯覚してしまっているのです。
前後関係と因果関係
こうした誤りは、「Aが起きた後にBが起きた」という前後関係を、「Aが起きたが故にBが起きた」という因果関係と混同しているために起こります。
日常で良くある前後即因果の誤謬は以下のような例があります。
・雨男が来ると雨が降る
「雨男が来た」と「雨が降り出した」は当然直接の因果関係はありませんが、雨男が登場したタイミングと雨が降り出したタイミングがたまたま重なったため、因果関係があるように感じられます。
・おみくじで大凶を引くと悪いことが起きる
おみくじの結果と、実際に何か不幸が起きたことは、恐らく影響は無いはずです。しかし、おみくじで悪い結果を見た後に、不幸が起きると、おみくじによってその不幸が発生させられた/予言されていたように錯覚します。
・パンは犯罪行為を誘発する
良くあるジョークに、「暴力的犯罪行為の90%は、パンを食べた後に行われている」という統計があります。
当然、パンは危険な食べ物ではなく、パンを食べたことによって人が狂暴化することはありません。
しかし、パンという食べ物はほとんどの人が食べているものであるため、犯罪行為を含む全ての行為の前に食べられている可能性が高いです。
前後即因果の誤謬を利用すると、このような誤解を生みやすい統計結果が導き出されます。
このような詭弁に騙されないためにも、情報を鵜呑みにせず、自分の頭でしっかりと考えて因果関係を見抜くことが重要です。
日常会話での使用方法
「あーあ、お前が来てから急に雨が降り出したな」
「違うよ!それは前後即因果の誤謬だよ!」
本サイトで紹介している用語一覧は以下です。