白鳥の首フラスコ実験:生命はどうやって誕生した?(知的な小話176)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

白鳥の首フラスコ実験とは

白鳥の首フラスコ実験とは、フランスの科学者であるパスツールが、生物が自然発生しないことを示すために行った実験です。

生命がどのように誕生するかは、長年議論がされ続けてきました。

19世紀まで、多くの人に支持されていたのは、生命は無生物(物質)から誕生するという自然発生説でした。

自然発生説はアリストテレスによって提唱された説で、土や泥から虫が湧く様子などから、生まれた発想です。

しかし、パスツールは白鳥の首フラスコ実験によって自然発生説を否定します。

白鳥の首フラスコとは、口が白鳥の首のように曲がりくねったフラスコのことです。

白鳥の首のように曲がりくねった口のおかげで、空気が入れ替わりはしますが、外部の微生物が入ってくることは無いという状況を作り出すことができます。

パスツールは、この白鳥の首フラスコに有機物の水溶液を入れた上で殺菌し、生命が自然発生するかを観察しました。

すると、しばらくしても微生物などの生命は発生せず、有機水溶液は元のままでした。

そして、フラスコの首を折って、微生物の混じった外部の空気と触れさせると、水溶液の中に微生物が増殖していきました。

この結果から、有機物が存在したとしても、そこに新たな生命が自然に発生することは無いということが証明されたのです。

パスツールの研究所内には、当時の肉汁の入ったフラスコが展示されており、100年以上経った現在でも、濁りの無い状態が維持されています。

生命の起源は?

自然発生説はパスツールによって否定されましたが、それでは生命はいったいどのように誕生したのでしょうか。

明確な答えはまだわかっていませんが、様々な説があります。

インテリジェント・デザイン説

インテリジェント・デザイン説は、生命は「知的な何か」によって設計されたとする説です。

この説では、生命は自然発生したわけでなく、何らかの上位存在によって作られたものだとします。

神によって人類が作られたとする、キリスト教の世界観に近い考え方です。

この世はプログラムによって作られたシミュレーションであるとする、シミュレーション仮説も類似の概念です。

パンスペルミア説

パンスペルミア説は、地球上の生命は、宇宙からやってきたとする説です。

パンスペルミア説では宇宙から生命の種のようなものが飛来し、地球上で育ったことで生命が誕生したことになります。

しかし、その宇宙で生まれた生命はどのように誕生したのか、という疑問は以前残り続けるため、この説は問題の先送りにしかなっていません。

化学進化説

化学進化説は、科学者の中で最も一般的に信じられている説で、生命は無機物から化学的な反応によって生まれたとする説です。

無機物から有機物が蓄積され、化学的な反応によるプロセスを経て、生命が構成されていくという流れになります。

リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』でも紹介されている考え方で、非常に興味深い説です。

日常会話での使用方法

「コバエって無から湧いてくるよな」

「それは白鳥の首フラスコ実験で否定されてるよ」

本サイトで紹介している用語一覧は以下です。

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