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「証拠がある」「論理的だ」「科学的だ」。よく聞く言葉ですが、何を根拠に、どこまで言えるかは別々に考える必要があります。この一覧では、予想する・説明する・確かめるための20の用語を、身近な例で紹介します。
科学研究の手順は分野によって異なり、ここにある用語を順番に使えば正解になるわけではありません。自分の考えのどこを確認したいかに合わせて読んでみてください。
目次
- 1 まずは一覧で、役割をつかむ
- 2 1.演繹法:前提から必ず言えることを導く
- 3 2.帰納法:見た事例から、まだ見ていない場合を予想する
- 4 3.アブダクション:結果を説明する仮説を考える
- 5 4.反証可能性:間違いと分かる結果を示せるか
- 6 5.オッカムの剃刀:説明に不要な仮定を増やさない
- 7 6.背理法:主張の否定から、矛盾を導く
- 8 7.必要条件・十分条件:「欠かせない」と「それで足りる」を分ける
- 9 8.相関と因果:一緒に変わることと、原因であることを分ける
- 10 9〜20:比較して理解を深める用語
- 11 一つの出来事を、3段階で考えてみる
- 12 どこから読むか迷ったら
- 13 参考資料
- 14 科学的な考え方:このページから進む4ステップ
まずは一覧で、役割をつかむ
- 演繹法:前提から必ず言えることを導く
- 帰納法:見た事例から、まだ見ていない場合を予想する
- アブダクション:結果を説明する仮説を考える
- 反証可能性:間違いと分かる結果を示せるか
- オッカムの剃刀:説明に不要な仮定を増やさない
- 背理法:主張の否定から、矛盾を導く
- 必要条件・十分条件:「欠かせない」と「それで足りる」を分ける
- 相関と因果:一緒に変わることと、原因であることを分ける
1.演繹法:前提から必ず言えることを導く
ルールが「赤いカードはすべて2点」で、手元のカードが赤いなら、そのカードは2点だと導けます。正しい前提から妥当な形で推論すれば、結論も正しくなるのが演繹です。
間違えやすい点:ただし、ルールを読み違えていた場合は、現実の点数を保証できません。結論に納得する前に、推論の形と前提の正しさを別々に確かめます。
2.帰納法:見た事例から、まだ見ていない場合を予想する
同じ操作を何度か試し、毎回保存できたので「この操作なら安定していそうだ」と考えるのは帰納的な推論です。事例から傾向を見いだすため、新しい状況への予測にも役立ちます。
間違えやすい点:何回成功しても、未確認の端末や入力で必ず成功するとは限りません。件数だけでなく、条件の偏りや例外を見ます。なお数学的帰納法は、名前は似ていますが演繹的な証明です。
3.アブダクション:結果を説明する仮説を考える
効果音だけ出なくなったとき、「アプリ内の音量がゼロなのでは」と原因の候補を考える推論です。観察に合う説明を用意することで、次にどこを調べるかが見えてきます。
間違えやすい点:説明が自然でも正解とは限りません。別の出力先につながっていたなど、候補から漏れた原因もあり得ます。複数の仮説を比べ、それぞれなら何が起きるはずかを確認します。
4.反証可能性:間違いと分かる結果を示せるか
「この箱のカードはすべて青い」という主張なら、別の色のカードが出た場合に見直せます。このように、主張と矛盾する観察が原理的に可能な性質が反証可能性です。
間違えやすい点:反証可能だから間違い、という意味ではありません。また観測には誤りが入り得るため、実際に反する結果が出たら、測定条件や記録も確認します。「何が出ても正しい」と後付けする説明には注意が必要です。
5.オッカムの剃刀:説明に不要な仮定を増やさない
ボタンが動かない原因として、一枚の画面が入力を遮っている説明と、いくつもの独立した故障を仮定する説明を比べます。同じ観察を説明できるなら、余分な仮定を持ち込んでいないかを考えます。
間違えやすい点:「短い説明が必ず正しい」という規則ではありません。必要な複数の原因まで削れば、現実を説明できなくなります。単純さを選ぶだけでなく、予測が観察に合うかを確かめます。
6.背理法:主張の否定から、矛盾を導く
ある条件では到達できないと示したいとき、到達できると仮定して、既知の条件と矛盾することを示す方法です。元の主張を直接証明するより、否定から進めた方が道筋を見つけやすいことがあります。
間違えやすい点:「何となく変だ」では足りません。どの条件とどの結論が両立しないかを明確にします。現実の原因探しでは候補や前提が間違うこともあるので、数学の証明と同じ確実さがあるとは限りません。
7.必要条件・十分条件:「欠かせない」と「それで足りる」を分ける
整数が6の倍数なら、2の倍数です。6の倍数であることは、2の倍数であるための十分条件。一方、2の倍数であることは、6の倍数であるための必要条件です。
間違えやすい点:矢印を逆向きにすると成り立つとは限りません。4は2の倍数ですが6の倍数ではありません。「条件を満たしているから原因はこれだ」と飛躍していないかを確認するのにも役立ちます。
8.相関と因果:一緒に変わることと、原因であることを分ける
架空の店で、冷たい飲み物の販売数と日傘の販売数が一緒に増えたとします。飲み物が日傘を売れさせたとは限らず、暑さが両方に影響しているかもしれません。相関は共に変化する関係、因果は一方が他方を変える関係です。
間違えやすい点:単なる前後関係も原因の証明にはなりません。「その後だから、そのせいだ」と考える前後即因果の誤謬は、関連する別の落とし穴です。詳しい記事では、順序と原因の違いを扱います。
相関係数の計算例と限界も併せて読むと、相関と因果の区別を確かめられます。基本からは統計の基本用語8選をご覧ください。
一つの出来事を、3段階で考えてみる
「説明文を変えた翌日に、アプリの利用者が増えた」という架空の出来事を考えます。
- 観察を整理する:何人から何人へ、どの期間に変わったのか。他の変更や紹介がなかったかを見る。
- 説明を複数考える:説明文の効果、曜日の違い、外部からの紹介などの仮説を出す。
- 違いを確かめる:各仮説なら何が起きるはずか、どんな結果なら見直すかを決める。
「翌日に増えた」は観察、「説明文が原因」は仮説です。この二つを書き分けるだけでも、確かめるべきことが見えてきます。
どこから読むか迷ったら
推論の種類を整理したいなら演繹法と帰納法、原因探しならアブダクション、自分の主張を確かめたいなら反証可能性がおすすめです。議論の落とし穴は論理的誤謬の一覧、前提を変えて考える遊びは思考実験の一覧からどうぞ。
日常の選択や社会の仕組みも考えたい方は、身近な経済学の用語10選へ。用語名からは知的な用語集で探せます。
参考資料
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