反証可能性とは、ある主張が間違いだった場合に、それと矛盾する観察や実験の結果を、原理的に示せることです。「間違っている」という判定ではなく、間違いを発見できる形になっているかという性質を表します。
「この方法は、うまくいけば効果がある。うまくいかなければ、まだ効果が見えていないだけ」。この説明には、どんな結果が出ても言い逃れできる余地があります。反証可能性は、その余地を問い直す言葉です。
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箱の中のカードで考える
架空の箱にカードが入っていて、「この箱のカードは、すべて青い」と主張したとします。赤いカードが1枚見つかれば、この主張と両立しません。「何が出たら間違いと認めるか」が明確なので、反証可能です。
青いカードを10枚続けて引いても、まだ調べていないカードまで青いとは限りません。支持する例を集めることと、例外を排除することは別です。ただし、有限の箱を全部確認できたなら、その箱については全数を確かめられます。
ポパーが注目した、主張と観察の関係
哲学者カール・ポパーは、反証可能性を、経験科学の理論を区別する基準として重視しました。どのような観察なら理論に反するのかを示し、厳しいテストにさらすという考え方です。
ただし、この基準だけですべての学問や主張の価値を判定できるわけではありません。数学の証明、倫理上の判断、芸術の評価は、それぞれ異なる問いを扱います。「反証できないから、無意味・偽・悪い」と一括りにはできません。
検証可能性・反証・背理法との違い
- 検証可能性:観察などによって確かめられるか、という広い問い。
- 反証可能性:主張と矛盾する結果があり得るか、という性質。
- 反証:実際に主張に反する根拠を示すこと。
- 背理法:主張の否定を仮定して、論理的な矛盾を導く証明方法。
科学の実験では、観測機器や測り方も間違う可能性があります。数学の背理法と、実験結果による理論の見直しは、そのまま同じ手続きではありません。
アプリの不具合なら、条件を先に書く
説明用に「入力の先頭と末尾の半角スペースを取り除いてから、正解と比較する」という仕様を考えます。この仕様なら、「ねこ」と「 ねこ 」は同じ結果になるはずです。異なる結果が出れば、仕様通りに動いているという主張を見直せます。
「どんな入力でも快適に動く」だけでは、快適さの意味が曖昧です。対象の入力、端末、操作手順、期待する結果を決めると、確かめる場所が具体的になります。何回か成功しただけで全環境を保証できない点は、帰納法とも関係します。
反する結果が一つ出たら、すぐ全部を捨てる?
実際には、結果の記録違い、測定条件のずれ、補助的な仮定の誤りも考えます。反する結果を無視せず、再現するか、別の測り方でも確かめられるかを調べます。
都合が悪くなるたびに条件を後付けするのと、根拠を示して測定や仮定を修正するのは違います。変更した理由と、修正後の主張がどんな結果を予測するかを残すと、その違いが見えやすくなります。
理解を確かめる小さな問題
「このボタンは、指定した端末で10回押すと毎回音が出る」。実際には1回だけ音が出ませんでした。反証可能性がない主張だったのでしょうか。
答えと考え方を見る
いいえ。音が出ない場合を確認できるので、反証可能な主張です。観察は主張に反していますが、消音設定や操作記録なども確認して、どの条件が崩れたかを調べます。
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参考資料
本文の事例・数値は、説明用に作成したものです。