条件付き確率で迷ったら、「分母に入れるのは、どのケースか」を先に決めましょう。「赤いカードを引く確率」と「星が付いたカードだと分かったとき、赤い確率」では、数える範囲が違います。
ここではカード、箱の中の玉、二つの表示窓を使った3問で、条件の向きと選び方を確かめます。すべて説明用の架空の設定です。紙に候補を書き、ヒントから順に開いて考えてみてください。
目次
条件付き確率は、分かった条件の中で考える
条件付き確率は、ある出来事が起きたと分かっているときの、別の出来事の確率です。Bが起きたという条件の下でAが起きる確率を、P(A|B)と書きます。縦線の右側が、すでに分かっている条件です。
定義は P(A|B)=P(AとBの両方)÷P(B)。ただし、P(B)が0より大きい場合です。MITの確率・統計教材(英語PDF)でも、この形で定義されています。
一つ一つのケースが同じ確率なら、「Bに合うケースの数」を分母にして、その中の「Aにも合うケースの数」を分子にできます。ケースごとの確率が違う場合は、個数を数えるだけでは求められません。
例題1 星付きカードなら、赤い確率は?
赤5枚、青5枚の計10枚のカードがあります。赤のうち2枚、青のうち1枚には星が付き、残りに星はありません。すべてのカードを同じ確率で選ぶように、1枚引きます。
| 色 | 星あり | 星なし | 合計 |
|---|---|---|---|
| 赤 | 2枚 | 3枚 | 5枚 |
| 青 | 1枚 | 4枚 | 5枚 |
問題:引いたカードに星が付いていると分かりました。赤い確率はいくつでしょうか。さらに、逆に「赤い」と分かったとき、星が付いている確率も考えてみましょう。
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星があると分かった時点で、星のない7枚は候補から外れます。逆向きの問いでは、最初に外すカードが変わります。
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星付きだと分かったときに赤い確率は2/3。赤いと分かったときに星が付いている確率は2/5です。
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星付きカードは全部で3枚。そのうち赤は2枚なので、2÷3=2/3です。分母を10枚にした2/10は、「赤くて星付きのカードを最初に引く確率」を答えています。
一方、赤いと分かっているなら、分母は赤5枚。その中の星付き2枚を数え、2÷5=2/5になります。両方の特徴を持つカードは同じ2枚でも、条件にする集まりが違うのです。
「星付きなら赤」と「赤なら星付き」の向きを入れ替えないことが大切です。必ず成り立つ条件の向きを整理したいときは、必要条件・十分条件の違いも参考になります。
例題2 赤玉が出たら、赤玉の多い箱?
6個の箱があり、どの箱にも玉が5個入っています。
- Aタイプは1箱だけ。中身は赤玉4個、白玉1個
- Bタイプは5箱。どの箱も赤玉1個、白玉4個
まず6箱から1箱を同じ確率で選び、次に、その箱の5個の玉から1個を同じ確率で取り出します。箱の種類は見ず、取り出した玉の色だけ確認します。
問題:玉は赤でした。選んだ箱がAタイプである確率はいくつでしょうか。
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Aから赤玉が出る道は4通りあります。Bは1箱だけではありません。Bの5箱をまとめると、赤玉が出る道は何通りでしょう。
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4/9、約44.4%です。「Aの玉は80%が赤」という数字を、そのまま答えには使えません。
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玉を一つずつ区別すると、箱の選択と玉の選択の組は6×5=30通り。それぞれの確率は1/6×1/5=1/30で等しくなります。
赤玉にたどり着く組は、Aの4通りと、Bの5箱に1通りずつある5通りの合計9通りです。そのうちAは4通りなので、条件付き確率は4/9になります。
Aは赤玉が出やすい箱ですが、最初に選ばれる確率は1/6しかありません。Bは1箱ごとなら赤玉が出にくくても、箱の数が5倍あります。このもとの種類の割合を「基準率」と呼びます。この設定では、Aの基準率は1/6です。
もしAとBが1箱ずつなら、赤玉はAの4個とBの1個。赤を見た後にAである確率は4/5になります。各タイプの箱の中身を変えなくても、最初の箱の割合を変えると答えが変わるのです。
ベイズの定理とは、どうつながる?
箱の種類ごとの出やすさと、もとの箱の割合から、赤玉を見た後の箱の確率を求める。例題2のような逆向きの条件付き確率を整理するのが、ベイズの定理です。
この問題なら、分子は「Aを選んで赤が出る確率」の4/30。分母は「どの箱からでも赤が出る確率」の9/30。4/30÷9/30=4/9となり、数え上げた答えと一致します。
例題3 「どちらかが丸」と「左が丸」は同じ?
装置に左右二つの窓があります。各窓には、○か△がそれぞれ1/2の確率で表示され、左右の結果は独立です。したがって「○○、○△、△○、△△」の4通りは、どれも1/4の確率です。
問題:次の二つの確認方法で、「両方とも○」の確率はいくつでしょうか。
- 装置が両方を調べ、少なくとも一つが○なら必ず合図し、両方△なら合図しない。その合図が出た
- 左の窓だけを開き、○が表示されていた
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4通りを左右の順序を保ったまま書き、各条件に合わないものを消します。1と2で残る候補は同じでしょうか。
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1の合図が出たときは1/3。2で左が○だったときは1/2です。
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1では「△△」だけが外れ、「○○、○△、△○」の3通りが残ります。両方○はそのうち1通りなので1/3。「○△」と「△○」は別の結果なので、まとめて1通りと数えないようにしましょう。
2では左が△の結果が外れ、「○○、○△」の2通りが残ります。そのうち1通りなので1/2です。左が○でも、独立な右の表示が○になる確率は1/2のままです。
どちらも○があると分かった場面ですが、得た情報が違います。「少なくとも一つある」という全体への条件と、「左にある」という位置を指定した条件では、残るケースも変わります。
確率の問題で迷ったときの確認順
- 何を同じ確率で選ぶかを書く。箱なのか、玉なのか、カードなのかをそろえる
- 分かっている条件に印を付ける。「赤が出た」「左が○」など、分母を決める言葉を拾う
- 条件に合うケースの中だけで数える。同じ確率でないケースは、重みを付けて計算する
情報の得られ方でも答えが変わる例は、モンティホール問題へ。集団の内訳が割合を変える話を広げるなら、シンプソンのパラドックスへ進めます。
紙のカードで試すときは、短い回数の結果が計算どおりになるとは限りません。回数と割合の関係は大数の法則で紹介しています。まずは正解の数字よりも、「なぜその分母になるのか」を一文で説明してみてください。
条件を整理して考える遊びをもっと楽しみたい方は、パズルや謎解きのアプリ一覧もどうぞ。

