セレンディピティとは?偶然の出来事を、思いがけない発見につなげる力

探していたものではないのに、役立つものを見つけた。セレンディピティは、そんな思いがけない発見を表す言葉です。偶然が起きることに加え、その出来事に価値を見いだす気付きが、発見につながります。

セレンディピティの由来

ホレス・ウォルポールは1754年の手紙で、『セレンディップの三人の王子』の物語に触れ、探していなかったものを、偶然と洞察によって発見することを説明しています。偶然に出会うだけでなく、そこから意味を読み取ることが含まれています。ウォルポールの1754年1月28日の手紙・掲載頁

たとえば、目的の本を探す途中で別の本に出会い、今取り組んでいる仕事の疑問が解ける。計画していた出会いではなくても、知りたかったことと結び付ければ、新しい発見になります。

ポスト・イットは、発見と用途がつながった例

3Mのスペンサー・シルバーは、接着剤の研究中に、軽く付き、剥がせる接着剤を発見しました。すぐに用途が決まったわけではありません。後にアート・フライが、聖歌集のしおりが落ちる不便さと、この接着剤を結び付けます。二人は製品を開発し、付箋にメッセージを書く用途も見えてきました。ポスト・イット公式の開発史

ここで面白いのは、「弱い接着剤が偶然できた」で話が終わらないことです。性質を覚え、ほかの人へ伝え、別の困りごとと結び付け、使える形にしていく過程があります。

幸運と、発見を分けてみる

たまたま抽選に当たることは幸運ですが、何かの性質を見つけたわけではありません。一方、失敗した試作品が別の目的で役立つと気付くなら、新しい用途の発見があります。

この区別を意識すると、セレンディピティを「運がよければ成功する」という話だけにしなくて済みます。偶然は完全に計画できなくても、気付いたことを記録し、確かめることはできます。

アプリを試してもらうと、想定外の遊びが見える

架空の謎解きゲームを一人で解くものとして作ったところ、遊んだ人が、家族と相談しながら楽しんでいたとします。これは、作る側の想定とは違う使い方です。

「一人用だから違う」と片付ける前に、何が楽しかったのかを聞いてみます。順番に問題を出すことなのか、考えを言い合うことなのか、答え合わせなのか。そこから、みんなで遊ぶための見せ方が思い付くかもしれません。

ただし、一人の使い方が見つかっただけで、すべての人が求める機能だとは分かりません。短い試作を作って、別の人にも試してもらう。気付きと、確かめた結果を分けておくと、発見を育てやすくなります。

偶然を発見につなげる、日常の小さな習慣

  • 予想との差を残す:期待した結果と、実際に起きたことを別々に書く。
  • 性質を言葉にする:「失敗」だけでなく、何が強く、弱く、違ったのかを挙げる。
  • 別の用途を考える:その性質が、ほかの困りごとを解決しないかを考える。

すべての失敗に価値を見つけなければならない、ということでもありません。気になった違いを一つ残しておく。その記録が、後で出会う問題とつながることがあります。

同じく偶然を扱う言葉でも、シンクロニシティは、出来事の意味のある一致に注目します。発見の話とは、どこを見ているかが違います。

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