沈黙の螺旋:多数派が増え続ける理由は?(知的な小話199)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

沈黙の螺旋とは

沈黙の螺旋(らせん)とは、ドイツの政治学者であるエリザベート・ノエレ・ノイマンが提唱した、同調を求める社会的な圧力によって、少数派が減り、多数派が増えていく様子です。

会社の会議や学校のクラス会で、みんなが1つの方向の意見に向かっていると感じた場合、心の中ではその意見に反対でも、その場で自分の意見を主張することは難しいでしょう。

そうして少数派が意見を控えた結果、多数派の意見が通されるでしょう。

その時、実は他にも反対の人がいたかもしれませんが、皆沈黙しているのに互いの存在に気付くことはありません。

こうした少数派による遠慮によって他の少数派の遠慮が生まれている状態を、沈黙の螺旋と呼んでいます。

マスメディアの台頭によって世論が1つの方向に向かいやすくなっているのも、こうした効果によるものでしょう。

沈黙の螺旋から抜け出すには、多数派に反対するような主張を行う存在が重要です。

議論や討論の場であえて反対意見を述べる役割のことを悪魔の代弁者と言います。

反対意見を述べる人の存在によって、少数派も意見を出しやすい環境を作り出すことができます。

悪魔の代弁者は沈黙の螺旋への対策として非常に有効です。

沈黙の螺旋の原因

人間は社会的な生き物であり、孤立することを恐れます。

そのため、物事において自分が少数派だと自覚している場合は、意見を主張することを控え、多数派に合わせようとする動きをします。

結果として、少数派が減っていき多数派が増加することで、ますます同調圧力が強まっていくという悪循環に陥っていくのです。

人が他人に流されてしまう傾向にあることは、アッシュの同調実験によっても示されています。

また、類似の心理効果として、人は流行っているものを好みやすいというバンドワゴン効果もあります。

日常会話での使用方法

「おーい、誰も反論ないなら今年の修学旅行は千葉だぞー」

「沈黙の螺旋だ・・・」



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