量子消しゴムとは?消すのは過去ではなく、経路を区別する情報

量子消しゴムは、どの経路を通ったかを区別できる情報と、干渉の見え方の関係を調べる実験です。条件に応じてデータを分けると干渉が現れる場合がありますが、過去の出来事を書き換えたり、未来から通信したりする仕組みではありません。

読み:りょうしけしごむ / 英語・別名:quantum eraser 遅延選択量子消しゴム

二つの経路を区別できると、何が変わるか

二つの経路に対応する振幅が重なれば、干渉を示すことがあります。しかし経路と、別の粒子や偏光などの識別可能な状態が結び付くと、経路だけを見たデータでは干渉が失われます。人が実際に情報を読んだかだけでは決まりません。

消しゴムという名前は、記録ファイルを削除する操作の比喩ではありません。経路を区別しない基底で測定し、その結果に条件を付けて相関を見る、といった具体的な実験手順が必要です。

全部の点と、条件をそろえた点を分ける

もつれた二つの粒子を別々に測り、一方の結果で他方の位置データを分類する模型を考えます。ある分類では縞が現れ、別の分類ではずれた縞が現れることがあります。それらを足した未分類のデータに、同じ干渉縞が現れるとは限りません。

ここで大切なのは、条件付きの分布と全体の分布を比べることです。片側の画面だけを見て、遠くで相手が選んだ設定を読み取ることはできません。相関の確認には、双方の結果を通常の方法で照合する必要があります。

全体のデータと、条件付きの分類

保存された位置データ(変えない)後で相手の測定結果と照合条件Aの集計条件Bの集計ある位相の縞ずれた位相の縞合計では縞が打ち消され得る
条件を付けた分布と、分類しない分布を区別する図です。後の測定で先の記録が変わるわけではなく、相関の確認には結果の照合が必要です。

遅延選択は、過去への命令ではない

経路情報を調べる側の測定を、位置の検出より後に行う配置もあります。だからといって、先に保存された位置の一覧が後から変わるわけではありません。後で得た結果と照合し、どの部分集合として見るかが決まります。

デコヒーレンスは環境との相関によって干渉が見えにくくなる過程です。量子消しゴムは制御された情報と相関を使う実験で、環境に広がったあらゆる情報を日常的に回収できると主張するものではありません。比較するときは、どこまで制御しているかを確認します。

量子消しゴムとデコヒーレンス

量子消しゴムとデコヒーレンスの違い
比べる点量子消しゴムデコヒーレンス
注目制御した経路情報と条件付きの相関環境との相関で干渉が見えにくくなる過程
できること条件に応じた干渉を検討古典的に見える振る舞いを説明
限界過去を変えず、超光速通信もできない全環境の情報を簡単に回収できるわけではない

参考資料