ネーターの定理は、一定の条件のもとで、作用の連続的な対称性と保存量を結び付ける定理です。エネルギー・運動量・角運動量の保存が、別々の暗記事項ではなく、同じ考え方から見えてきます。
読み:ねーたーのていり / 英語・関連表記:Noether theorem Noether’s theorem
物の形より、法則の対称性を見る
対称性というと、左右対称な蝶や模様を思い浮かべがちです。ここでは、時間をずらす、位置をずらす、向きを回すといった変換をしても、力学を決める作用が変わらないことへ注目します。
作用は、運動の候補となる経路に対して定まる量です。日常語の「何かが作用する」という意味とは違います。厳密な定理では境界項などの扱いもありますが、入門では「どんな変換のもとで規則が同じか」をまず押さえます。
三つの対応を並べてみる
時間を一様にずらしても法則が変わらない時間並進対称性は、エネルギー保存に対応します。空間の位置を一様にずらす対称性は運動量保存、空間の向きを回す対称性は角運動量保存へつながります。
ここで同じなのは、物体が取る位置や姿勢ではなく法則です。ボールが移動すれば座標は変わりますが、実験場所を一様にずらしたことで、力学の規則そのものが変わるかを問うています。
外から条件を変えたら、どうなる?
外部から時間依存の力を加えた部分系では、その部分だけのエネルギーは保存しないことがあります。外部装置とのやり取りを含めず、「保存則に反した」と結論するのは早計です。
何を系に含め、どの変換が対称性なのかを指定します。箱の中だけを見て量が変わったとき、境界を通る受け渡しや、外部条件の変化を考える必要があります。
すべての対称性に、同じ形の保存量?
左右反転のような離散的な変換は、少しずつ連続的に動かす変換ではありません。連続対称性に対する定理を、そのまま何でも当てはめないようにします。ゲージ対称性にも追加の注意があり、単に「対称なら何かが保存」と唱えるだけでは足りません。
名前の魅力は、別々に見えた保存則へ共通の問いを与えることです。「何を変えても同じなのか」と尋ねると、保存の意味を深く読めます。