力学系でいう分岐は、パラメータを変えたとき、平衡点や周期運動などの数・安定性・構造が質的に変わることです。数値が少し増えるだけではなく、続いていた動きの種類が切り替わるところに注目します。
読み:ぶんき / 英語・関連表記:bifurcation 分岐現象 周期倍化
初期値と、規則のつまみを分ける
初期値は、どこから運動を始めるかです。パラメータは、更新規則の中にある条件を表します。振り子なら、最初の角度と、外から加える周期的な力の大きさは別のものです。
分岐を見るときは主に後者を変えます。同じ規則のもとで初期値を少しずらすバタフライ効果の話と、規則の条件自体を変える話を区別しましょう。
一つの落ち着き先が、不安定になる
模型として、位置xの変化率をμx−x³とします。μは変えられる条件です。μが負ならx=0へ戻る向きが働きますが、μが正になると0は不安定になり、±√μという二つの安定な位置が現れます。
これはピッチフォーク分岐の代表的な模型です。右へ行くか左へ行くかという対称な二択が現れますが、現実の装置では小さな非対称性や揺らぎも結果に影響します。模型のきれいな左右対称を、そのまま実物へ押し付けないようにします。
周期が2倍になる分岐もある
一つの値へ落ち着いていた更新が二つの値を交互に取り、さらに四つの値を巡るようになる場合があります。これが周期倍化の入口です。ロジスティック写像は、その様子を短い式で調べる代表例です。
ただし分岐が起きれば必ずカオスになるわけではありません。周期的な状態へ移るだけの場合もあり、カオスへ至る道も周期倍化だけではありません。
「急に変わった」を、図で説明する
分岐図では、横軸にパラメータ、縦軸に長時間後の状態などを描きます。一本の時間の軌跡ではなく、条件を変えた複数の実験を並べた地図として読むのがコツです。
日常の転機を何でも分岐理論で説明できるわけではありません。状態変数と規則を定め、何が安定で、どこで変わるのかを確かめて初めて、数学の言葉として使えます。