平均値・中央値・最頻値は、データを一つの値で代表させるための指標です。しかし答えている問いは違います。合計を均等に分けるなら平均値、順に並べた中央なら中央値、一番よく現れる値なら最頻値です。
架空の5人の読書時間を、2・3・3・4・8分とします。全員の状況を一語で伝える難しさを、この5個だけで確かめてみましょう。
目次
5つの値を変えて、平均とばらつきを試そう
数値を変更して「計算する」を押すと、平均・中央値・分散・標準偏差が変わります。まず値5を8から28へ変え、中央値が変わらず平均が動くことを確かめてください。
JavaScriptを有効にすると、入力した値を計算できます。元の例は平均4、中央値3、分散4.4、標準偏差約2.0976です。
| 指標 | 計算結果 |
|---|---|
| 平均値 | |
| 中央値 | |
| 分散(5で割る) | |
| 標準偏差(上の分散の平方根) | |
| 不偏分散(4で割る) | |
| 小さい順 |
青い点は各値、茶色の破線は平均です。横軸は入力に合わせて自動調整されます。異なる入力の図を比べるときは、軸の数値も確認してください。
入力範囲は±1,000,000、表示は小数点以下4桁まで。分散の単位は元の単位の二乗です。不偏分散は母分散の推定で使う別の計算として併記しています。入力値はこの教材の計算のためにブラウザー内で処理し、教材から送信・保存しません。
同じデータでも答えは一致しない
| 指標 | 計算・見つけ方 | 答え |
|---|---|---|
| 平均値 | (2+3+3+4+8)÷5 | 4分 |
| 中央値 | 小さい順で3番目 | 3分 |
| 最頻値 | 最も回数が多い値 | 3分(2回) |
平均が4分でも、5人のうち3人は4分より短く読んでいます。「平均的な人」を、人数の真ん中の人と同じ意味で使うと食い違います。一方で合計時間を知りたいなら、平均4分×5人=20分と計算でき、中央値3分×5人では合計になりません。
1人だけ長く読むと、どれが変わる?
最後の人の8分を28分に変えます。ほかの4人は同じです。
| データ | 平均値 | 中央値 | 最頻値 |
|---|---|---|---|
| 2・3・3・4・8 | 4分 | 3分 | 3分 |
| 2・3・3・4・28 | 8分 | 3分 | 3分 |
平均は全ての値の大きさを反映するため、倍になりました。中央値と最頻値は今回は変わりません。どれかが嘘なのではなく、「全体の時間が増えた」と「真ん中やよく出る値は変わらない」という別の情報を表しています。
大きく離れた値を、直ちに異常として削除するのも避けます。本当に長く読んだのか、単位や入力を間違えたのかで扱いが違います。除外するなら、理由と基準を残す必要があります。
中央値は、並べ替えを忘れない
記録順が8・2・3・4・3なら、画面の中央にある3を偶然選ぶのではなく、まず小さい順に並べます。個数が偶数の2・3・4・8では、中央の3と4を平均して3.5分です。実際に3.5分読んだ人がいなくても、中央値として問題ありません。
同じ値が複数あると、「中央値より大きい人と小さい人がぴったり半分ずつ」という表現は成り立ちません。2・3・3・3・8では中央値3より小さい人も大きい人も1人です。順位の中央と、厳密に上下へ分かれる人数を区別します。
最頻値は複数になることもある
2・2・4・4・8なら、2と4がそれぞれ2回で同率の最多です。単独の代表値を無理に選ばず、両方を伝えられます。全て異なるデータでは、どれも同じ頻度なので、特に目立つ最頻値がないと説明する方が分かりやすい場合があります。
好きな本のジャンルを「小説・小説・科学・歴史・小説」と集計すると、最も多いのは小説です。このようなカテゴリーに平均値を出しても意味がありません。データの種類に合うまとめ方を選びます。
集団の平均を、単純に平均してよい?
A組は2人で平均10分、B組は8人で平均5分とします。二つの平均を足して2で割ると7.5分ですが、10人全体の平均にはなりません。A組の合計20分とB組の合計40分を足し、10人で割ると6分です。
人数が違う集団をまとめるときは、人数による重み付けが必要です。日ごとの平均を週の平均にするときも、日によって人数や件数が違わないかを確認します。集団の構成が結果を変える話はシンプソンのパラドックスにもつながります。
使い分けは「何を知りたいか」から
- 必要な総量や合計を見積もりたいなら、平均と人数を見る。
- 順に並べた中央付近を知りたいなら、中央値を見る。
- よく出る値や人気のカテゴリーを知りたいなら、最頻値を見る。
- 人による差も知りたいなら、代表値に加え、分布や標準偏差を見る。
確認問題:1・2・2・3・12の平均、中央値、最頻値は?
合計20なので平均4、中央の3番目が2なので中央値2、2が2回で最多なので最頻値2です。平均4の値が実際に観測されていなくても、計算は正しいままです。
参考資料
本文の人物・場面・数値は、説明用に作成した架空の例です。