ロジスティック写像は、前の値から次の値を求める短い式なのに、条件を変えるだけで収束・周期運動・カオスが現れる数学の模型です。「規則がある」と「先を予測しやすい」が同じではないことを見せてくれます。
読み:ろじすてぃっくしゃぞう / 英語・別名:logistic map
式の中に、増加と抑制を入れる
代表的な式は xₙ₊₁=r xₙ(1−xₙ) です。xは0〜1に規格化した量、rは変化の強さを調整する定数です。ここでは0≦r≦4、0≦x₀≦1の範囲を考えます。xが小さいと増えやすく、1に近づくほど(1−x)が増加を抑える形になっています。
生物の個体数になぞらえられますが、餌、季節、年齢、移動まで含めた現実の予測式ではありません。時間を連続的に扱うロジスティック微分方程式とも区別します。離散的に何度も代入することが、この模型の振る舞いの鍵です。
0.2を入れて、三回だけ計算してみる
r=2、x₀=0.2なら、x₁=0.32、x₂=0.4352、x₃≒0.4915となり、0.5に近づきます。次の値は毎回一意に決まり、途中でサイコロを振ってはいません。
rを変えると、落ち着く値が一つから二つ、四つへ分かれる周期倍化が起こり、カオスを示す領域に入ります。ただし大きいrならすべて同じ振る舞いになるわけではなく、カオス領域の間に周期的な窓もあります。
r=2:値は0.5へ近づく
ランダムさとの違いと、計算の落とし穴
カオスでは初期値のわずかな差が成長し、長期の値を当てにくくなります。これは法則が消えることではありません。また初期値やパラメータの特別な選び方では、単純な軌道に乗る場合もあります。
コンピューターでは桁数が有限なので丸め誤差が入り、非常に長く反復した結果を厳密な軌道そのものとは扱えません。分岐図を見るときも、横軸がrなのか時刻なのか、過渡的な部分を捨てたかを確認すると読み違いを減らせます。