ポアンカレ断面は、動く状態が決めた面を横切るたびに点を記録し、運動の規則性を調べる方法です。絡まった軌道を全部描く代わりに、同じ場所を通る瞬間だけを並べます。
読み:ぽあんかれだんめん / 英語・別名:Poincaré section Poincare section
切るのは物体ではなく、状態の空間
位置や速度を座標にした位相空間の中で、軌道と横断的に交わる面を選びます。そして同じ向きに横切る交点を順に記録します。断面は実物を輪切りにした面ではなく、運動を整理するための観測の基準です。
例えば振り子なら、位置だけでなく速度も状態に含めます。同じ位置にいても、右へ進むのか左へ戻るのかで次の運動が違うからです。交差方向をそろえるのも、別の通過を不用意に混ぜないためです。
点、一周する曲線、複雑な集合
周期運動が毎回同じ状態で断面へ戻れば、点は同じ位置に重なります。一周期中に複数回通るなら、有限個の点になります。準周期的な運動では、条件によって断面上に滑らかな曲線を描くことがあります。
カオス的な運動では、複雑な点の集合や帯状の構造が現れます。ただし散らかった点だけを見てカオスと断言はできません。測定雑音、記録時間の不足、断面の選び方でも見え方が変わるためです。
ポアンカレ写像との違い
断面上のある交点を、次の交点へ対応させる規則がポアンカレ写像です。断面は記録する場所、写像は点から点への対応と考えると区別できます。次に戻らない軌道では、その点で写像を定義できないこともあります。
周期的な外力がある場合は、外力の一周期ごとに記録するストロボ写像も便利です。どちらも情報を絞って規則を見る手法ですが、「空間の面を横切る」と「同じ時間間隔で見る」の設定を明示して使います。