平均への回帰とは?良すぎる結果・悪すぎる結果の次に起こること

最高の記録が出た次の日には、少し平凡な記録に戻った。逆に、極端に悪かった次の日には改善した。こうした変化を見て、「ほめたから油断した」「注意したから伸びた」と説明したくなることがあります。しかし、結果の変化には平均への回帰が関わっているかもしれません。

平均への回帰とは、変動のある測定で極端な結果を示した対象を選ぶと、別の測定では、その集団の結果が平均に近い側へ寄りやすくなる現象です。一人ひとりが必ず平均になる法則でも、誰かの能力が平凡になるという主張でもありません。

結果には、続く要因と一時的な変動が混ざる

説明のため、同じ難易度のミニゲームを繰り返す場面を考えます。Aさんの得点の中心は60点、Bさんは70点。ただし、その回の偶然によって−10点、0点、+10点のいずれかが同じ確率で加わるとします。各回の変動は独立で、練習による上達はないというモデルです。

参加者得点の中心その回に出る得点
Aさん6050・60・70
Bさん7060・70・80

80点を出した人に注目すると、それはBさんが+10点の回に当たった場合です。次回のBさんの期待値は70点で、直前の80点より低くなります。中心の得点は変わっていません。反対に50点を出した人に注目すると、Aさんの次回の期待値は60点で、直前より高くなります。

この例では、極端な得点だったという選び方が、一時的な上振れ・下振れも選び出しています。次回に同じ変動が続くとは限らないため、平均的には極端さが小さくなります。それでもBさんが次回も80点を出す場合や、Aさんが再び50点を出す場合はあります。

改善したから、直前の対策が効いたとは限らない

最も成績が悪かった回だけを選び、その後に練習方法を変えて、次回の結果と比べたとします。結果が上がっても、練習の効果と、もともとの下振れからの戻りが混ざります。対策をしなかった場合の次回も改善していた可能性があるからです。

検討には、複数回の記録、同じ条件での比較、可能なら無作為に分けた比較群などが役立ちます。「平均への回帰があり得る」だけで対策が無効だと結論するのも早計です。対策の効果を切り分けるための注意点として使います。

ギャンブラーの誤謬とは、何が違う?

公平で独立したコインで表が続いても、次に裏が出る確率が高くなるわけではありません。平均への回帰は、過去の偏りを帳消しにする力を意味しません。

例えば、10回中9回表が出たグループを選び、もう一度10回投げるなら、次の10回の表の期待数は5回です。最初の9回より平均に近い期待値になりますが、それは次の各投が依然として半々だからです。最初の10回と次の10回を合わせた表の期待数は14回で、過去の9回が消えるわけではありません。

計算の基本は平均値・中央値・最頻値の違い、散らばりは分散・標準偏差で確認できます。統計用語一覧から順に読むこともできます。

どの平均に、どんな条件で近づくのか

実際の観察では、測定方法の変更、上達、季節、集団の入れ替わりなども結果を変えます。こうした条件が動いている場合、単純に同じ平均へ戻るとは言えません。また、完全に同じ結果を再現する測定なら、この種類の揺れはありません。

「平均」という言葉だけで判断せず、何を測り、誰を選び、何回目と何回目を比較しているのかを書き出すと整理できます。極端な例だけを抜き出したのか、全員を追ったのかという違いも重要です。

考えてみよう:最も調子がよかった回だけを宣伝したら?

その後の平均的な回が、悪化したように見えることがあります。最初の基準が例外的だった可能性を確かめるには、宣伝に使わなかった回も含めて分布を見る必要があります。一回の最大値と、普段の水準を区別しましょう。

参考:UC Berkeley・Philip B. Stark:SticiGui, Errors in Regression(The Regression Effect)。本文の日常場面と数値例は、特記のない限り説明用の作例です。

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