ユースバルジ:人口の激増で発生する人口ピラミッドの形とは?(知的な小話220)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

ユースバルジとは

ユースバルジとは、人口爆発が原因で、人口ピラミッドの下部がバルジのように膨らみ、歪な形になる現象です。

ユース(youth)とは、若年層のことを表します。

バルジ(bulge)とは膨らみのことを表し、銀河の中心の膨らんでいる部分を銀河バルジと呼んだりもします。

通常、人は生まれてから歳を取るごとに徐々に亡くなっていくため、人工ピラミッドの形は、若年層から高齢層にかけて少しずつ減っていくような綺麗な三角形を描きます。

しかし、出生数が大きく増大している発展途上国などでは、若年層の割合が急激に大きくなり、若年層の人数が高齢層の人数とは不釣り合いなほど多くなります。

つまり、老人の人数に対して若者の人数が多い状態になっているということです。

その結果、ピラミッドの形としては、下部の若年層が異様に大きく膨らみ、ユースバルジの形状を成すのです。

こうしたピラミッドの形状は、人口爆発の最中である発展途上国でしばしば発生します。

日本の人口ピラミッドはどんな形?

日本では、第二次世界大戦が終わって間もない1950年~1960年頃に、人口爆発が発生し、人口ピラミッドがユースバルジの形になっていました。

団塊の世代と呼ばれる人々が生まれ、人口も大きく増加しました。

社会保障が必要な老人に対して労働人口が圧倒的に多くなるため、経済が目まぐるしく成長していきます。

実際、人口爆発の時期は日本の経済成長期に重なります。

しかし、他の先進国の例に漏れず、経済が発展するにつれ、徐々に出生率が低下し、日本の人口ピラミッドはユースバルジの形状から釣り鐘のような形へと移行していきます。

出生率が低下して若者の人数が減っていく一方、医療技術の進歩により死亡率も低下し、老人が増えていったのです。

なかなか新しい子供が生まれず、団塊の世代と呼ばれるかつての若者たちがそのまま高齢者になっていくため、現在の日本の人口ピラミッドはこれまでとは真逆で、高齢者が多く若者が少ないという形になっています。

労働人口が減ったにも関わらず、年金や保険といった社会保障を必要とする老人が増えていくため、日本の経済が衰退していくことは想像に難くなく、実際に近年の日本経済は縮小していっています。

経済成長において、人口ピラミッドの形が如何に重要かがわかります。

日常会話での使用方法

「最近、下っ腹がユースバルジになってきたな」

「太っただけなのにカッコよく言うな」

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