ホール効果は、電流が流れる導体や半導体へ磁場を加えると、横方向に電位差が生じる現象です。磁場そのものは目に見えなくても、動く電荷が片側へ寄ることを利用して、電圧として読み取れます。
読み:ほーるこうか / 英語・関連表記:Hall effect Hall voltage
電荷の通り道が、横へ曲げられる
薄い板に電流を流し、板を貫く向きの磁場をかける模型を考えます。動く電荷は磁気力を受け、片側へ偏ります。その偏りによって横向きの電場ができ、さらに偏ろうとする働きに対抗します。
定常状態では、単純な模型で電気力と磁気力がつり合います。電荷が際限なく板の端へたまるのではなく、電位差が生まれたところで新しいつり合いを考えるのです。
電流を流す方向と、測る方向が違う
普通の抵抗測定では、電流に沿った方向の電圧降下へ注目します。ホール効果では、電流と磁場の両方に直角な方向の電圧を読みます。同じ板でも、どこに測定端子を付けたかで観測する量が違います。
電流、磁場、板の厚さなどをそろえた単純な一種類の担体の模型では、ホール電圧は磁場や電流に比例します。ただし複数種類の担体が関わる材料や強い磁場では、もっと詳しい扱いが必要です。
電子なのか、正の担体なのか
電流は正の電荷が進む向きを基準に定義されます。電子の移動方向はその逆です。電流の向きをそろえて比べると、主要な担体の電荷の符号によってホール電圧の符号が変わり得ます。
半導体では、正孔という正の担体としての説明が役立つ場合があります。「電流はいつも電子が矢印の向きへ動くもの」と考えると混乱するため、電流と粒子の速度を別々に描きましょう。
磁場を、位置や回転の情報へ変える
磁石との位置関係で磁場が変わるなら、ホール素子の出力を位置や回転の検出に利用できます。検出器が直接「物の位置」を見ているのではなく、磁場の変化を読み取っている点が面白いところです。
名前の似た量子ホール効果は、特定の条件で現れる量子的な現象です。ここで扱った古典的な横電圧の模型だけで、量子化された値の理由まで説明したことにはなりません。