渦電流とは?配線のない金属の中を、電流が回る仕組み

渦電流は、磁束の変化によって導体の内部に生じる、輪を描くような電流です。導線をコイル状につながなくても、金属の板や塊の内部が電流の通り道になります。磁石で金属の動きを抑える、不思議な制動にも関わります。

読み:うずでんりゅう / 英語・関連表記:eddy current 渦電流制動

線の代わりに、金属そのものを通る

導体を貫く磁束が変わると、導体の内部で誘導電流が流れることがあります。どのような経路になるかは、材料の形、磁場の分布、時間変化に依存します。水の渦に似た名前でも、液体が回っているわけではありません。

磁場を変える方法には、磁石を動かす、導体を磁場の領域へ動かす、電磁石の電流を変えるなどがあります。磁石が近くに置かれているだけで、いつでも同じ渦電流が流れるとは限りません。

接触せずに動きを妨げる

導体が動いたために生じた電流は、元の磁束の変化を妨げる向きに磁場を作ります。適切な配置では、これが運動を抑える力になります。鉄でない導体でも、電気が流れることで磁場との関係が生まれるのです。

この制動を「磁石が金属を吸い付けるから」とだけ説明すると、強磁性と電磁誘導を混同します。動かす前後や、導体に切れ目を入れた場合を比べると、電流の経路が重要だと分かります。

失われた運動エネルギーはどこへ行く?

抵抗のある導体で電流が流れれば、ジュール熱が生じます。運動が抑えられる過程を、機械的エネルギーが熱へ移る過程として追えます。無接触で働くことと、エネルギーを使わないことは別です。

逆に、変圧器などでは不要な渦電流による発熱が損失になります。磁心を薄い板へ分けて電気的に絶縁する工夫は、大きな輪の電流が流れにくくなるようにするものです。

役に立つ渦と、減らしたい渦

制動や加熱では利用し、別の装置では損失として減らします。同じ現象でも、目的が違えば評価が逆になるのが面白いところです。一般的な渦電流ブレーキでは相対運動が止まると制動の働きも変わるため、停止したものを固定する機能まで自動的に備えるとは考えません。

参考資料