ローレンツ力とは?磁場が粒子を曲げても、速さを増やさない理由

ローレンツ力は、電場や磁場の中にある電荷に働く力です。特に磁場による力は、進行方向を横から曲げるように働きます。「磁石が引き寄せる力」という印象だけでは見えない、向きのルールを考えてみましょう。

読み:ろーれんつりょく / 英語・関連表記:Lorentz force

電気の力と、磁気の力を一つの式へ

一般にはF=q(E+v×B)と表します。qは電荷、Eは電場、vは速度、Bは磁束密度で、太字で書かれることの多い量には向きがあります。電場の項qEと、磁場の項q(v×B)を足したものです。

日本語の入門書では、磁場による項だけをローレンツ力と呼ぶ場合もあります。説明を読むときは、電場を含めた話なのか、磁場の部分だけなのかを先に確認すると迷いません。

速いほど強い。でも、どちらへ進むかも重要

磁気力の大きさは|q|vB sinθです。θは速度と磁場のなす角で、直角なら大きく、平行なら0になります。同じ粒子・同じ速さ・同じ磁場でも、向きだけで力が変わるのが特徴です。

説明用に、直角に進むときの力を1とすると、30度では0.5、平行では0です。これは特定の装置の測定値ではなく、sinθの関係を比べる模型です。負の電荷では、同じ速度を持つ正の電荷と力の向きが反対になります。

磁場による力は、速度に直角電場がなく、速度と磁場が直角の場合。正電荷の磁気力は上向きになり、速さを直接増やさず進行方向を曲げます。負電荷なら力は逆向きです。正の電荷が右へ進む瞬間×:紙面の奥向きの磁場×××××××××+速度 v磁気力 F力は進行方向へ押していない
電場がなく、速度と磁場が直角の場合。正電荷の磁気力は上向きになり、速さを直接増やさず進行方向を曲げます。負電荷なら力は逆向きです。(当サイト作成の模式図)

曲がることと、速くなることは別

電場などがなく一様な磁場だけがある場合、磁気力は速度に直角です。進む方向には仕事をしないため、粒子の運動エネルギーを直接増やしません。速度が磁場に直角なら円運動、平行な成分もあれば、らせん状の軌道を考えられます。

ここで一定なのは速さであり、速度というベクトル全体ではありません。方向が変われば速度は変わっています。「力があるなら必ずスピードが上がる」という思い込みをほどく例です。

どの場面へつながる?

導体内を動く電荷が横へ偏るホール効果や、荷電粒子の軌道を調べる装置へつながります。ただし実際の装置では電場、衝突、材料の性質なども関わります。単一の粒子の式だけで、回路全体の働きを言い切らないことが大切です。

電場の力と磁場の力、何が違う?

観点電場による力磁場による力
基本の形qEq(v×B)
止まった電荷電場があれば働く速度0ならこの項は0
速さへの影響仕事をして変え得る速度に直角で、直接は仕事をしない

両方が同時に存在する場合は足し合わせます。導体や装置全体のエネルギーの説明は、電場や外力まで含めて考えます。

参考資料