ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。
アファーマティブ・アクションとは
アファーマティブ・アクションとは、社会的弱者の不利な現状を改善するために行われる是正措置を指します。
人種や性別、出自による差別や貧困に苦しんでいる集団に対して、何らかの優遇をすることで、格差を是正します。
大学において黒人の入学者枠を一定以上設けたり、会社において女性の管理者枠を一定以上にすることを目標としたりするような行為は、アファーマティブ・アクションと言えます。
アファーマティブ・アクションは肯定的差別と呼ばれることもあります。
逆差別に注意?
社会的弱者を救う意味で、ある種の差別は必要だとする肯定的な意見もある一方、行き過ぎた是正措置によって公正な競争が阻害され、逆差別に繋がるという否定的な意見もあります。
例えば「大学の合格者の10%は黒人の枠とする」とした場合、10%の枠を確保するために、黒人の学生は通常の合格点を下回っていても合格となるようなことも起き得ます。
合格に値する能力が無くても「黒人だから」というだけの理由で合格を勝ち取ることになるのです。
当然、大学の合格者数は決まっていますので、こうした黒人の合格によって、本来は合格できるはずの点数を取っていたにも関わらず、不合格になってしまう学生も現れるでしょう。
黒人にとっては素晴らしい施策ですが、その他の学生にとっては迷惑なルールでしかありません。
アファーマティブ・アクションを行う際は、こうした過度な逆差別が発生しないよう注意する必要があります。
バッキ訴訟
アファーマティブ・アクションの是非については裁判でも争われています。
アラン・バッキという白人男性がカリフォルニア大学を相手に起こした訴訟は、アファーマティブ・アクションを考える際に重要な例です。
カリフォルニア大学は、差別の撤廃を目的として、大学の入学者を選抜する際に16%の合格枠をマイノリティの志願者に割り当てていました。
その結果、上述のように合格者と不合格者の間で成績の逆転現象が発生しました。
マイノリティを合格させたために、本来なら合格できる成績を残していたバッキは不合格となっていたのです。
バッキはこうしたアファーマティブ・アクションによる逆差別について訴訟を起こし、カリフォルニア大学の行ったマイノリティ優遇策は違憲だという判決が下されました。
結果、バッキは大学への入学を認められ、実際に大学課程を修了しました。
違憲かどうかのラインは難しいですが、なんでも少数派を優遇すればいいという訳ではないということが、この判決で明らかになったのです。
日常会話での使用方法
「フットサル、女子が点取ったら3点分な!」
「アファーマティブ・アクションだね」
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