パウリの排他原理は、同種のフェルミ粒子が同じ一粒子量子状態を同時に占められないという原理です。電子の並び方、原子の構造、物質の性質を考える鍵になります。「粒子同士が電気で反発すること」とは別です。
読み:ぱうりのはいたげんり / 英語・別名:Pauli exclusion principle
場所だけでなく、状態全体を区別する
電子はスピンが1/2のフェルミ粒子です。原子の電子を整理するときは、軌道を表す量子数に加え、スピンの状態も含めて区別します。同じ場所に見えるかどうかだけで、同じ量子状態とは決まりません。
一つの空間軌道に、異なる二つのスピン状態の電子が一個ずつ入れるのはこのためです。同じ軌道に二個入る例は排他原理の例外ではありません。空間とスピンを合わせた状態が異なっています。
席の比喩で、分かることと分からないこと
状態を番号付きの席にたとえると、同種のフェルミ粒子は一つの席を二重に占められません。低いエネルギーの席から占有されるため、電子が増えると高いエネルギーの状態も必要になります。
ただし電子は小さな人が固定の椅子に座るような存在ではなく、区別できない粒子です。多電子状態は粒子の交換に対して反対称になり、同じ一粒子状態を二重に入れようとすると、その状態の振幅がゼロになります。
反発力や、ボース粒子との違い
クーロン反発は電荷の間の相互作用です。排他原理は同種フェルミ粒子の量子状態に関する制約であり、力を加えて追い払う仕組みとして説明するものではありません。電子が占有できる状態が限られることから、縮退圧などにもつながります。
整数スピンのボース粒子では、同じ状態を多数が占められます。ただし占有できることと、どの条件でも自動的にそこへ集まることは別です。温度や相互作用を無視して、フェルミ粒子とボース粒子のすべての性質を一言で決めることはできません。
フェルミ粒子とボース粒子
| 比べる点 | フェルミ粒子 | ボース粒子 |
|---|---|---|
| スピン | 半整数 | 整数 |
| 同じ状態の占有 | 同種粒子は重複できない | 複数が占有できる |
| 例 | 電子 | 光子 |
| 注意 | 空間軌道と全状態を区別 | 必ず同じ状態に集まるわけではない |