二つの商品で迷っていたのに、第三の候補を見たら、片方が急にお得に見えた。おとり効果は、選ばれにくい候補の追加が、ほかの選択肢の選ばれ方を変えることを扱います。
おとり効果とは
典型的なおとり効果は、一方の候補には明らかに劣るが、もう一方とは単純に優劣がつかない候補を加えたとき、優位に立つ候補が選ばれやすくなる現象です。「非対称優越効果」とも呼ばれます。
ヒューバー、ペイン、プトーは1982年、こうした候補を追加することで、追加前からある選択肢の選ばれる確率が増える場合を示しました。単に商品が三つあるだけで成立する話ではありません。
出典:Huber, Payne & Puto(1982)Adding Asymmetrically Dominated Alternatives
写真保存プランで考える、架空の比較
以下は説明のための架空の料金表です。ほかの機能や条件は同じで、安く、容量が多いほどよいと仮定します。
| プラン | 月額 | 保存容量 |
|---|---|---|
| A | 300円 | 10GB |
| B | 500円 | 30GB |
| C(追加候補) | 550円 | 25GB |
Aは安さ、Bは容量に強みがあり、どちらがよいかは用途によります。ところがCを見ると、BはCより安く容量も多い。CはBに両方の点で劣りますが、Aに対しては高い代わりに容量が多く、単純には劣りません。
Cがなかったら、何を選ぶ?
自分に10GBで足りるなら、BがCより有利でも、Aを選ぶ理由は残ります。「Cより得」と「自分に必要」を分けてみてください。
この表を見てBを選んでも、あなたにおとり効果が起きたとは断定できません。もともと30GBが必要だった可能性があります。効果を調べるには、Cの有無による選択の変化を比較する必要があります。
松竹梅やアンカリングとの違い
| 言葉 | 注目する関係 |
|---|---|
| おとり効果 | 一方だけが明らかに勝てる比較相手を加える |
| 中間の選択肢を好む傾向 | 極端な候補を避けて、中間を選ぶ |
| アンカリング | 最初の数字などが、その後の判断の基準になる |
三つの料金プランがあることや、真ん中を選んだことだけで、おとり効果とは言えません。何が追加され、どの属性で誰が誰より有利かを確認します。
選ぶ側にも、作る側にも
選ぶときは比較表を見る前に、必要な容量や予算を決めると、自分の目的へ戻りやすくなります。そのうえで不要な候補を外し、残った案を比べ直します。
サービスを作るなら、利用者が使わない容量や機能を「お得感」だけで選ぶ設計には注意が必要です。各プランが向く使い方を明記し、合わない人には小さいプランも選びやすくする方が、納得した選択につながります。
研究でも、表現や課題によって効果の現れ方には限界が指摘されています。料金表を変えれば売上が必ず増える、と約束する法則ではありません。