大きな立方体の中に小さな立方体があり、対応する角が線で結ばれている。不思議な図形を見たことはありませんか。四次元の超立方体、テッセラクトを表す投影図でよく使われる形です。
四次元をそのまま目で見るのは難しくても、作り方や数え方なら一歩ずつ追いかけられます。まず、点を動かすところから始めてみましょう。
目次
点を動かすと線、線を動かすと正方形
一点をまっすぐ動かした道筋は、線分になります。次に線分を、それまでと垂直な方向へ同じ長さだけ動かすと、正方形ができます。
正方形を、今までの二つの方向のどちらとも垂直な方向へ動かすと、立方体になります。テッセラクトは、この考え方をもう一段進めたものです。
| 次元 | 形 | 新しい方向へ広げると |
|---|---|---|
| 0 | 点 | 線分 |
| 1 | 線分 | 正方形 |
| 2 | 正方形 | 立方体 |
| 3 | 立方体 | テッセラクト |
最後の操作に必要なのは、立方体の縦・横・高さのどれとも垂直な、四つ目の方向です。三次元の部屋の中では、その方向を指差せません。そこで図や数式を使います。
四次元は、座標を一つ増やして考える
平面上の位置は(x, y)、空間上の位置は(x, y, z)で表せます。同じように、四次元の位置を(x, y, z, w)で表します。
ここでwは、四つ目の空間座標です。相対論で時間を含む四次元の時空を考える話とは、いったん分けて読むと分かりやすくなります。テッセラクトを考えるために、時間旅行を持ち出す必要はありません。
一辺の長さが1のテッセラクトは、四つの座標がそれぞれ0から1まで動く範囲として表せます。立方体で座標が三つだったところを、四つに増やすのです。
頂点16個、辺32本、正方形24枚、立方体8個
テッセラクトの基本的な構成は次の通りです。数字と定義はMathWorldのTesseractでも確認できます。
| 構成するもの | 立方体 | テッセラクト |
|---|---|---|
| 頂点 | 8個 | 16個 |
| 辺 | 12本 | 32本 |
| 正方形の面 | 6枚 | 24枚 |
| 三次元の立方体の部分 | 立方体全体が1個 | 境界に8個 |
テッセラクトでは、立方体が三次元の境界部分を作ります。立方体の境界が六つの正方形だったことを、一段上へ進めた関係です。テッセラクト全体は四次元の図形なので、8個の立方体を普通の三次元空間で積み上げたものとは違います。
頂点が16個になる理由
頂点では、x、y、z、wがそれぞれ0か1です。四つの座標に二つずつ選択肢があるので、2×2×2×2=16通り。
(0,0,0,0)と(0,0,0,1)は、三つの座標が同じでも、四つ目が違う別の頂点です。
辺が32本になる理由
各頂点からは、四つの座標のどれか一つだけを変える方向へ辺が伸びます。したがって頂点一つにつき4本。
16×4=64と数えると、一本の辺を両端の頂点から二度数えているので、2で割ります。64÷2=32本です。
正方形と立方体も、座標から数えられる
正方形を作るには、動かす座標を四つから二つ選びます。その選び方は6通り。残る二つの座標はそれぞれ0か1に固定するので4通り。合わせて6×4=24枚です。
境界の立方体では、一つの座標を0か1に固定し、残り三つを動かします。固定する座標が4通り、値が2通りなので、4×2=8個になります。
「大きな箱の中に小さな箱」は、投影の見え方
立方体を紙に描くと、手前と奥の正方形をずらして線で結びます。紙の上では斜めの線やゆがんだ四角形でも、立方体そのものの辺や面がゆがんでいるわけではありません。
テッセラクトの図も同じです。四次元の関係を三次元や二次元へ投影すると、「箱の中の箱」のように見えることがあります。元の図形に、大小二つの箱がそのまま入れ子になっているわけではありません。
投影の方法や角度が変われば、見え方も変わります。回転の動画で辺が伸び縮みして見えても、表示へ落とすときの変化なのか、元の図形の変化なのかを分けて考えましょう。
想像しづらい形を、関係で理解する
テッセラクトを理解する目標は、頭の中に完璧な四次元の映像を作ることだけではありません。頂点から何本の辺が出るか、どの座標が変わるか、境界が何でできているか。こうした関係も、図形を理解する大切な手がかりです。
見えない方向が一つ増えても、数え方はつながっている。そこに、高次元の図形の面白さがあります。
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