展望記憶とは?「あとでやろう」を、ちょうどよいときに思い出す記憶

展望記憶は、あらかじめ決めた行動を、将来の適切な時点で思い出して実行するための記憶です。過去の出来事を再生するだけでなく、別のことをしている途中に、予定した意図へ戻る必要があります。

読み:てんぼうきおく / 英語・別名:prospective memory 未来記憶

予定の内容と、思い出すタイミング

「友人に本を返す」と覚えていても、会ったときにその予定が浮かばなければ実行できません。逆に、何かする予定だったと気付いても、何をするかを忘れていることがあります。意図を適切な時点で思い出す側面と、行動内容を保持する側面を分けると、単純な暗記力の話ではないと分かります。

出来事が合図になる場合

友人を見かけたら本を渡す、店の前を通ったら荷物を出す、といった予定は出来事を手掛かりにします。これを事象ベースの展望記憶と呼びます。合図がはっきりしているか、今している作業に関連しているかで、気付きやすさは変わり得ます。

EinsteinとMcDanielの1990年の研究では、別の課題の中で特定の出来事が起きたら行動するよう求める方法が使われました。予定した行動を、いつも考え続けているわけではない状況を調べるためです。

時刻が合図になる場合

「15時になったら連絡する」なら時間ベースです。時計を確認するなど、時刻との対応を自分で捉える必要があります。ただし通知を使えば、音や表示という出来事の合図も加わります。現実の予定は二種類を完全に切り離せるとは限りません。

時間ベースだからいつも難しい、年齢が上がると必ず一様に悪くなる、といった断定は避けます。課題の性質、合図、動機、外部の補助などをそろえないと比較できません。予定を一度忘れたことから、本人の能力全体を決め付ける言葉でもありません。

「どこで何を見たら」を具体化する

本を返す予定なら、出発時に目に入る場所へ本を置き、誰に会ったら渡すかを結び付ける、といった工夫が考えられます。通知も、行動可能な時間に合図が届くようにすることが大切です。これらは理解を日常へつなぐ例で、どんな忘れ物にも必ず効く方法という意味ではありません。

参考資料