「あと一歩遠回りすれば、指定の手数になるはず」。ところが、何度試してもできない。そんなときは、手数が偶数か奇数かに注目すると理由が見えることがあります。
この性質を偶奇性(ぐうきせい)、またはパリティと呼びます。細かな数を全部追いかけず、二つのグループに分けて考える方法です。
目次
偶奇性とは?0も偶数に含まれる
整数のうち、2で割り切れるものが偶数、2で割ると1余るものが奇数です。0は2×0と書けるので、偶数です。
パズルで便利なのは、数を増減させたときの決まりです。
- 1を足す・引くと、偶数と奇数が入れ替わる
- 2を足す・引くと、偶数か奇数かは変わらない
- 偶数+偶数と奇数+奇数は偶数、偶数+奇数は奇数になる
例えば、7と107は大きさが違いますが、どちらも奇数です。「正確にいくつか」をいったん置き、同じグループとして扱います。偶奇性を問題解決に使う例は、コーネル大学の教材「Parity」(PDF)でも紹介されています。
小問:右下まで、ちょうど8手で進める?
縦4マス、横5マスの長方形の盤があります。左上のマスから出発し、右下のマスがゴールです。次のルールで動きます。
- 1手で、上下左右のどれかへ1マス進む
- 盤の外へは出られない。斜め移動や、その場での待機もできない
- 一度通ったマスには何度戻ってもよい
ちょうど8手でゴールできますか?まずは紙に4×5のマスを描き、考えてみてください。右へ4回、下へ3回なら7手で到着します。では、1手だけ遠回りできるでしょうか。
答え:市松模様にすると、できないと分かる
答えは、できません。左上を黒にして、マスを黒と白の市松模様に塗ります。上下左右で隣り合うマスは、必ず違う色になります。
| 黒・出発 | 白 | 黒 | 白 | 黒 |
| 白 | 黒 | 白 | 黒 | 白 |
| 黒 | 白 | 黒 | 白 | 黒 |
| 白 | 黒 | 白 | 黒 | 白・ゴール |
1手進むたびに、黒→白→黒→白と色が入れ替わります。そのため、黒から出発すると、偶数手の後は黒、奇数手の後は白です。右下のゴールは白なので、偶数の8手では到着できません。
どこへ遠回りするかは関係ありません。すべての一手で色が変わる以上、8手目は必ず黒です。これなら、経路を一つずつ調べる必要がありません。
マスの色は、行と列の足し算でも表せる
上から何行目かと、左から何列目かを、それぞれ1から数えて足してみます。左上は1+1=2で偶数。右下は4+5=9で奇数です。
上下左右へ1マス動くと、行番号か列番号のどちらかが1だけ増減します。つまり、合計の偶奇が毎回入れ替わります。色を塗る方法と、足し算をする方法は、同じ決まりを見ています。市松模様と行・列の合計の関係は、セントラルフロリダ大学の教材(PDF)でも確認できます。
奇数手なら、何手でもよいわけではない
ここは注意点です。ゴールへは、少なくとも右方向へ4マス、下方向へ3マス進む必要があります。1手、3手、5手も奇数ですが、距離が足りません。
9手なら到着できます。最初に「右、左」と動いて出発点に戻り、その後に右へ4回、下へ3回進めば、2+7=9手です。戻る動きを足すと、手数は2ずつ増えます。
また、斜め移動や待機を許すと、今回の「一手ごとに色が変わる」という説明は使えなくなります。偶奇性で考えるときは、一手のルールを最初に確かめるのが大切です。
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