比較優位とは、あるものを作る際に、ほかのものを諦める量、つまり機会費用が相対的に小さいことです。「誰が速いか」だけでなく、「その仕事をする代わりに何ができなくなるか」を比べます。
片方がどの仕事も速くても、分担する意味が生まれる場合があります。架空の制作チームで計算してみましょう。
目次
絶対優位は、同じ作業に必要な資源の比較
同じ品質の記事と図を作る2人を考えます。作業時間は一定で、引き継ぎや修正の時間はかからないと仮定します。
| 担当者 | 記事1本 | 図1枚 |
|---|---|---|
| Aさん | 2時間 | 1時間 |
| Bさん | 6時間 | 2時間 |
Aさんは記事も図も短時間で作れます。この設定では、両方の作業で絶対優位があります。でも、これだけでは比較優位は決まりません。
記事1本の代わりに、図を何枚作れる?
Aさんが記事を書く2時間には、図を2枚作れます。Bさんが記事を書く6時間には、図を3枚作れます。記事1本の機会費用は、Aさんが図2枚、Bさんが図3枚です。
諦める図の枚数が少ないAさんに、記事の比較優位があります。図については逆算します。Aさんの図1枚は記事1/2本、Bさんの図1枚は記事1/3本に相当する時間です。図の比較優位はBさんにあります。
| 作るもの | Aさんの機会費用 | Bさんの機会費用 |
|---|---|---|
| 記事1本 | 図2枚 | 図3枚 |
| 図1枚 | 記事1/2本 | 記事1/3本 |
2本の記事と2枚の図を作るなら
それぞれが記事1本と図1枚を作ると、Aさんは3時間、Bさんは8時間。合計11人時の作業で、両者が同時に開始すれば完了まで8時間かかります。
Aさんが記事2本、Bさんが図2枚を担当すると、それぞれ4時間。合計8人時、同時開始なら4時間で終わります。この設定では、どちらも速いAさんがすべてを抱える必要はありません。
人時は作業時間の合計であり、時計で測る完成までの時間とは違います。この例で減ったものを混同しないよう、両方を分けて表示しています。
「苦手を全部押し付ければよい」ではない
現実には品質の差、引き継ぎ、習熟、納期、本人の希望、担当を固定する負担があります。上の例で分担の追加調整が合計3時間を超えるなら、単純に計算した人時の節約は消える可能性があります。
また、慣れることで作業速度は変わります。今日の機会費用だけで担当を永久に固定すると、学ぶ機会を失うかもしれません。比較優位は条件付きの比較であり、人の能力や価値を決める順位ではありません。
貿易の話を読むときの注意
比較優位は国同士の分業や貿易を説明する基本概念でもあります。ただし、全体の生産可能性が広がることと、すべての人が同じように得をすることは別です。調整費用や利益の分配も検討する必要があります。
「効率」と「公平」の違いはパレート最適の記事にもつながります。数字の前提と、誰の利益を数えているかを確認して読みましょう。
理解を確かめる小さな問題
上の例では、図を作る絶対優位と比較優位は、それぞれ誰にありますか。
答えと考え方を見る
絶対優位は1時間で作れるAさん、比較優位は諦める記事が1/3本と少ないBさんです。「速さ」と「ほかの生産を諦める量」を別々に比べます。
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参考資料
本文の事例・数値は、説明用に作成したものです。
1個あたり何分?
その間に他方を何個?
分担・受け渡しを検討
比較優位の計算:2人・2作業で試す
作業X・Yをそれぞれ1個仕上げる所要時間(分)を入れます。時間は一定、品質は同じ、作業は分割でき、切り替えや受け渡しの費用はない、という単純化したモデルです。
Xを1個作る機会費用=Xの時間÷Yの時間(Yを何個作れたか)。Yは逆の比を使います。機会費用が小さい側に比較優位があります。同率なら、このモデルでは比較優位の差はありません。
比較優位のある作業へ寄せることと、必要量・期限を無視して完全に専業化することは別です。最適な分担を決めるには、必要個数や勤務時間、品質、受け渡しの負担も考えます。