チェーホフの銃:物語に銃を登場させる時のルールとは?(知的な小話187)

ここでは、日常会話で使える知的な小話と、実際の使用例を紹介します。

チェーホフの銃とは

チェーホフの銃とは、小説や劇におけるルールの一つで、物語に意味の無い要素を盛り込んではいけないということを指します。

ロシアの劇作家であるアントン・チェーホフによる「誰も発砲することを考えもしないのであれば、弾を装填したライフルを舞台上に置いてはいけない。」という言葉が由来となっています。

例えばミステリ小説を読んでいて、序盤に出てきた重要そうなアイテムが実は何の意味も無かった、ということになると、読み手としては拍子抜けしてしまいます。

また、不要な話が多く盛り込まれていると、話の本筋を見失ってしまうことにもつながります。

そうした事態を避けるためにも、物語を作る際にはストーリー上に無関係な内容はできるだけ排除することが必要です。

チェーホフの銃は転じて、ストーリーの序盤に登場した内容が後になってから重要な意味を持つような演出も指します。

「あのシーンはこういう意味だったのか!」と後でわかるような伏線回収は、チェーホフの銃の一種と言えます。

デウス・エクス・マキナも、物語のオチを考える際の基本ルールの一つです。

燻製ニシンの虚偽とは

チェーホフの銃とは真逆の考え方で、あえて重要な内容から受け手の目を逸らさせようとする技法を燻製ニシンの虚偽と言います。

ミステリ小説で無実の人を犯人だとミスリードさせるような演出がこれに当たります。

ただの善良な登場人物でも、裏で何かコソコソ行っているシーンをあえて描写することで、受け手には怪しい人だと印象付けることができます。

英語の慣用句が言葉の由来とされており、猟犬のしつけをする際に、臭いの強いニシンで犬を惑わせて訓練を行ったという説があります。

燻製ニシンの虚偽は英語で赤いニシンを意味する、レッド・へリングとも呼ばれます。

あえて無関係な内容を提示することで受け手の注意を惹くのは少しズルい手法なので、嫌われることもしばしばあります。

論点のすり替えによる詭弁として、藁人形論法という手法もあります。

日常会話での使用方法

「エアガン見ると撃ちたくなるんだよな」

「アントン・チェーホフかよ」



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