回折は、波が障害物や開口の近くで広がり、単純にまっすぐ進むだけでは説明できない分布を作る現象です。回り込みの目立ち方は、波長と障害物・開口の大きさの関係で変わります。
開口の幅を、波長と比べる
壁に開いた隙間を波が通る場面を考えます。隙間の幅が波長に比べて十分大きい場合より、同程度の場合の方が、通過後の広がりを無視しにくくなります。どれほど小さいかを、メートルの数字だけでなく波長との比で見るのがポイントです。
波長 λ / 開口の幅 a a が λ より十分大きい:広がりは比較的目立ちにくい a が λ と同程度:広がりを考慮する必要が大きい
音と可視光では、日常の壁の大きさが違って見える
説明用に、空気中の音速を340m/s、周波数を340Hzとすると、波長は1mです。一方、可視光の波長は数百nmの程度です。同じ幅1mの開口でも、波長に対する大きさは大きく違います。
角の向こうの音が聞こえることには回折が関わります。ただし実際の室内では反射なども起きるので、「聞こえた原因はすべて回折」とは決められません。光にも回折はあり、日常の影が比較的くっきり見えることと両立します。
単スリットの式は、条件付きで使う
幅aの細いスリットと単色光を考える標準的な遠方の模型では、暗くなる方向の条件はa sinθ=mλ(mは0以外の整数)です。最初の暗線はm=1。λを一定にしてaを小さくすると、中心の明るい部分は一般に広がります。
この式を、任意の形の穴やすぐ近くの観測面にそのまま使うことはできません。小さい開口で、条件を満たす暗線が存在するかにも注意が必要です。式の見た目だけで、どんな場合も同じ縞になると考えないようにします。
屈折とは、何が違う?
| 現象 | 注目するもの | 例 |
|---|---|---|
| 回折 | 開口・障害物付近での波の広がり | 隙間を通った波の分布 |
| 屈折 | 伝わる速さが異なる領域への移行 | 水中へ斜めに入る光 |
| 反射 | 境界から戻る波 | 鏡で戻る光 |
名前を一つだけ選ぶ問題ではなく、どの過程を説明したいかで使い分けます。干渉は回折の模様を考える際にも関係し、複数の部分からの寄与を重ね合わせる見方ができます。