人間関係、路線図、記事同士のリンクは、対象を点、関係を線にすると共通の方法で考えられます。ただし「つながる」の意味は毎回定義する必要があります。ここではA・B・C・Dの四点と、AB・BC・CA・CDの四本を基本の模型にします。
各用語を意味・具体例・注意点の順に読めます。例は説明のための模型であり、現実の対象へ使うときは条件を確認してください。
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目次
点と線を決める
1.ノード
ネットワークで対象を表す点です。人・駅・ページなど、何を点とするかを決めます。
具体例:四人A・B・C・Dを点で表す模型を考えます。
注意点:人の性格などの全情報を一つの点で表しているわけではありません。
2.エッジ
ノード間の関係を表す線です。どの関係を線にするかでネットワークが変わります。
具体例:友人関係をAB、BC、CA、CDの四本で表します。
注意点:会話・知人・親密さなどを同じ線として混ぜないようにします。
3.無向グラフ
関係の向きを区別しないグラフです。
具体例:ABという線はAからBとBからAを同じ関係として扱います。
注意点:現実の関係が対称かを確認します。片側の回答だけでは対称性を保証できません。
4.有向グラフ
関係の向きを持つグラフです。
具体例:AがBのページにリンクすることと、BがAへリンクすることを分けます。
注意点:互いにリンクするときは二方向の関係として表せます。
5.重み付きグラフ
線などに数値を持たせたグラフです。
具体例:駅間の移動時間を各線へ書き込みます。
注意点:大きい値が距離なのか強い関係なのかで、計算の意味が変わります。
つながりを数える
6.次数
ノードにつながる線の数です。単純な無向グラフの基本的な指標です。
具体例:AB、BC、CA、CDではCの次数は3、Dは1です。
注意点:人数の重要さそのものではありません。自己ループや多重辺を許す場合は数え方を指定します。
7.入次数・出次数
有向グラフで、入ってくる線と出ていく線の数を分けたものです。
具体例:受けるリンクの本数と、貼るリンクの本数を別々に数えます。
注意点:受信数と発信数が同じになる必要はありません。
8.経路
線をたどって一つのノードから別のノードへ進む道筋です。
具体例:AからDへA→C→Dと進めます。
注意点:文献によってpath・walkなどの用語の区別があるため、同じ点の再訪を許すか明示します。
9.最短距離
二点を結ぶ経路のうち、線の本数や重みの合計が最小になる値です。
具体例:重みなしならAからDは2本で届きます。
注意点:地図上の直線距離や、移動時間とは必ずしも同じではありません。
10.連結成分
無向グラフで互いに経路を持つ、最大のノードのまとまりです。
具体例:四人の模型に孤立したEを加えると、ABCDとEの二成分になります。
注意点:有向グラフでは強連結・弱連結など、向きを考慮した区別が必要です。
中心とまとまり
11.密度
可能な線の数に対して、実際に存在する線が占める割合です。
具体例:自己ループなしの無向4点では最大6本なので、四本の模型の密度は4/6です。
注意点:向きや多重辺の扱いで分母が変わります。規模の違いも考慮して比べます。
12.クラスター係数
あるノードの隣同士が、どれだけつながっているかを見る指標です。
具体例:Cの隣A・B・Dの間にはABだけがあり、可能な三本中一本なので局所係数は1/3です。
注意点:全体の集約方法には複数あります。密度とは同じ指標ではありません。
13.次数中心性
多くの線を持つノードを中心的とみなす指標です。
具体例:四人の模型ではCが最も多くの直接の接続を持ちます。
注意点:近所のつながりを測る指標で、遠くへの届き方を直接は表しません。
14.媒介中心性
他の二点を結ぶ最短経路上に、どれだけ位置するかを測る指標です。
具体例:DからAやBへの最短経路はCを通るため、Cの橋渡しに注目できます。
注意点:情報が必ず最短経路を通るという現実の法則ではありません。
15.近接中心性
他のノードまでの距離の短さに基づいて、全体へ近い位置を捉える指標です。
具体例:各点から他点までの距離を足し、合計の小さい点を考えます。
注意点:つながっていない点を含む場合は定義の調整が必要です。
広がり方を読む
16.橋
その線を取り除くと、無向グラフの連結成分が増える線です。
具体例:四人の模型ではCDを外すとDが孤立します。
注意点:見た目で細い線や重要そうな線を呼ぶだけではありません。削除後の接続で判定します。
17.コミュニティ
内部では比較的密に、外部とは比較的疎につながるまとまりなどを指します。
具体例:読書会ごとの交流のまとまりが、ネットワーク上の候補になることがあります。
注意点:唯一の正解分割があるとは限らず、手法や尺度で結果が変わります。
18.スモールワールド
大きなネットワークでも、ノード間を比較的少ない段階で結べる性質です。高い局所的なまとまりと併せて論じることもあります。
具体例:集団間を結ぶ少数の線が、遠い相手への距離を短くする模型です。
注意点:すべての人が必ず六人以内でつながるという保証ではありません。
19.ハブ
ネットワークの中で、多くの接続を持つノードです。
具体例:多くの路線が集まる駅を、接続数からハブとして見る例です。
注意点:重要性の指標は次数以外にもあります。一点への依存には脆弱さも伴います。
20.次数分布
各次数を持つノードが、全体でどれくらいあるかを表す分布です。
具体例:四人の次数1・2・2・3をまとめ、次数2が半数と数えます。
注意点:少数のハブがあるだけで、べき乗則やスケールフリー性が証明されるわけではありません。
似た用語を、自分の例で分ける
一つの場面を選び、どの用語が当てはまるか、その条件を説明してみてください。「名前を知っている」から一歩進めるには、似ているけれど当てはまらない例を一つ作る方法も役立ちます。
参考資料
- Barabási:Network Science, Chapter 2
- Barabási:Network Science, Chapter 3
- MIT:Mathematics for Computer Science
四つの点と四本の線で、次数と橋を確かめる
四つの点のつながりを変えてみる
無向・重みなし・自己ループなしの模型です。チェックで辺を追加・削除できます。点の場所や線の長さは計算に使いません。チェックはTabで移動し、Spaceキーでも切り替えられます。
初期状態でCDを外すとDが孤立します。次にADを追加してからCDを外すと、Dは孤立しません。「橋」かどうかは、他の辺との関係で変わることを確かめられます。
重みを変えると、最短経路は変わる?
AからDへ向かう無向グラフです。辺はAB=2、BC=1、CD=2、AC=5、BD=6。数字は移動時間(分)の模型で、すべて正の値です。同じ点を再訪しない四つの経路を比べます。
初期条件の最短はA→B→C→Dの5分です。辺を3本通っても、2本の道より短くなります。
| 経路 | 合計時間 |
|---|---|
| A→B→D | 8分 |
| A→C→D | 7分 |
| A→B→C→D | 5分 |
| A→C→B→D | 12分 |
辺の本数が少ないことと、重みの合計が小さいことは別です。AC=3ならA→C→Dも5分になり、最短経路は二つになります。負の重みや待ち時間は、この模型では扱いません。