誰が、どの場面で、何のために発話したかを踏まえて意味を考える分野です。文字通りの意味を越えた伝わり方を扱います。
まず、身近な例で考える
窓が開いた部屋での「寒いね」が、状況によっては窓を閉めてほしいという依頼になります。
本当に感想を言っただけかもしれません。文脈からの推測を、確定した本音と混同しないでください。
文:寒いね
場面:開いた窓・室内の温度
推測:感想か、閉めてほしい依頼か
同じ文でも、場面によって働きが変わる
窓が開いている部屋で「寒いね」と言えば、相手は窓を閉めるかもしれません。天気の話をしているなら、単なる感想かもしれません。文が表す内容に加えて、話し手の目的、共有知識、前後のやり取りが理解に関わります。
同じことは「これ、持てる?」にもあります。能力の確認にも、荷物を運んでほしいという依頼にもなります。どちらの意味かは、文の形だけでは決めきれません。
会話の含意は、取り消されることがある
誘いに「明日は早起きだから」と返すと断りの意向を推測しやすいですが、「でも、少しなら参加する」と続けられます。推測された内容が、文字通りの文から必ず導かれるとは限りません。
聞き手がいつも正しく意図を読むとは限らないため、誤解が困る場面では「窓を閉めてもらえる?」と明示すると確実です。語用論は相手の本音を見抜く技術ではなく、意味が伝わる条件を調べる分野です。
意味論・比喩・アイロニーとつなげる
意味論は語や文の意味の関係や組み立てを扱い、語用論は使用場面を踏まえた意味を考えます。ただし境界は理論によって異なります。比喩やアイロニーの理解にも、共有された見方や期待が重要になります。
自分で確かめる小問
「明日は早い」と言われたら、断りだと確定してよい?
断りを示唆する場面はありますが、参加できる時間の相談かもしれません。必要なら意向を確認します。
参考資料
本文の場面・数値例は、定義を理解するための説明用作例です。