ダンカンの多重比較法とは?平均値の差と、結果の読み方

ダンカンの多重比較法は、複数の群の平均を順に並べ、群の間の差を評価する方法です。この記事では、平均だけでは判定できない理由、a・b・abという文字の読み方、多重比較で誤りが増える問題を説明します。「有意差なし」は「同じと証明された」という意味ではありません。

ダンカンの多重比較法は、複数の群を比べる方法

ダンカンの多重比較法(Duncan’s multiple range test)は、平均値を順に並べ、群どうしの差を評価する検定方法です。並べた平均値がまたぐ範囲に応じた基準を用い、どの群の間に差が見られるかを調べます。

平均値の大小だけで結果を決めるわけではありません。各群に含まれる観測値のばらつき、観測数、誤差の大きさなどが関係します。単に「隣の群との差を順に見て、違わない群を同じと扱う」方法として覚えると、仕組みも解釈も取り違えてしまいます。

平均値だけでは、有意差を計算できない

冒頭の30cm、32cm、45cmは説明用の数字です。ここに平均値しか書かれていない以上、検定の結果を確定することはできません。

たとえば、30cmの群が29、30、31cmという値なのか、10、30、50cmという値なのかでは、平均は同じでもばらつきが違います。32cmの群との2cmの差を評価するには、測定値がどの程度散らばっているかも必要です。

同じ植物を何度も測った値を、別々の独立した植物のデータとして数えることにも問題があります。検定の名前を選ぶ前に、何を一つの観測として数えたのかを整理することが大切です。

比較を増やすと、誤って差を見つける機会も増える

3群のすべてのペアを比べると、比較は3通りです。4群なら6通り、5群なら10通りあります。群の数が増えると、調べるペアはそれ以上の速さで増えます。

差がない状況でも、標本の偶然の揺れによって「差がある」と判定することがあります。検定をたくさん繰り返すと、そのような判定がどこかで起こる機会も増えます。これが多重比較で考えるべき問題です。

ダンカン法は、全体の誤りを厳しく抑える方法ではない

SASの多重比較の公式解説では、ダンカン法は個々の比較の誤りを扱う方法として整理され、比較全体の誤りを抑える点では注意が必要とされています。有意差を見つけやすいことは、そのまま信頼性が高いことを意味しません。

どの方法を使うかは、すべてのペアを比べたいのか、対照群とだけ比べたいのか、どの誤りを抑えたいのかによって変わります。分析の目的を決めず、有意差が出る方法を後から選ぶと、結果の読み方が不安定になります。

a・bの文字は「同じ」の証明ではない

論文の表やグラフでは、群にa、b、abなどの文字が添えられることがあります。一般的な表示では、共通の文字を持つ群の間に、その検定で有意差が検出されなかったことを表します。まず、その表の注記と使用した方法を確認しましょう。

たとえば、Aがa、Bがab、Cがbなら、AとB、BとCは共通の文字を持ちますが、AとCは持ちません。こうした結果は、群を完全に別々の箱へ分類できるとは限らないことも示しています。

そして「有意差がない」は、「まったく同じだとわかった」という意味ではありません。観測数が少ない場合など、差を検出するための情報が足りない可能性もあります。

検定名の横に、差の大きさも置く

結果を読むときは、検定方法だけでなく、観測数、平均、ばらつき、差の大きさを一緒に見ます。統計的に差が見つかったことと、実用上意味のある差であることも別です。数字と判定をセットで読むと、平均値の比較から何が言えるのかが見えやすくなります。

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