赤方偏移とは?光が赤い側へずれる意味と、宇宙膨張との関係

赤方偏移は、観測される光の波長が、基準となる波長より長くなる現象です。天体の動きや宇宙膨張などと関係しますが、「赤く見える星」の意味とは違います。

定義の参考:NASA: Hubble Cosmological Redshift。以下の身近な例は説明用に作成したものです。

色そのものではなく、波長のずれを比べる

可視光では、波長が短い側が青、長い側が赤に対応します。天体の光のスペクトルにある特徴的な線が、実験室で分かっている位置より長波長側にあれば、赤方偏移として測れます。可視光以外の光にも使う言葉なので、肉眼で赤く見えることが条件ではありません。

例えば、本来500ナノメートルに現れる線を550ナノメートルで観測したとします。比べる対象は「どの色が多いか」ではなく、同じ種類の線がどれだけずれたかです。表面温度が低く赤っぽい星と、波長がずれた光を区別する必要があります。

zという値の読み方

赤方偏移は z=(観測波長−放出時の基準波長)÷基準波長 で表します。先ほどの例なら(550−500)÷500=0.1です。単位はありません。zが1なら観測波長は基準の2倍、zが2なら3倍です。「z=2だから2倍」ではない点に注意します。

この数値を、そのまま何年や何キロメートルと読むこともできません。距離や宇宙の年代に変換するには、宇宙のモデルやパラメーターなどが必要になります。

動き・宇宙膨張・重力を分ける

光源と観測者の相対的な運動によるドップラー効果では、遠ざかる向きの運動が赤方偏移を生みます。一方、遠方銀河の宇宙論的な赤方偏移は、光が進む間に宇宙の尺度が広がることと関係します。重力場を抜け出す光にも、重力による赤方偏移があります。

実際の観測では複数の効果が関係する場合があります。赤方偏移という共通の結果を見ただけで、すべてを単純な「宇宙空間の中を飛ぶ速度」に置き換えるのは不適切です。近距離・低速で使う近似式を、非常に大きなzにそのまま延長することもできません。

宇宙のニュースで確かめたい3点

①何のスペクトル線から測ったのか、②赤方偏移を測定したのか、色などから推定したのか、③距離への変換にどんな前提があるのか。この3つを意識すると、「遠い天体候補」と「詳細に確認された天体」の違いを読み取りやすくなります。

赤方偏移は宇宙を調べる強力な手掛かりですが、見出しの数字一つですべてが決まるわけではありません。距離の単位を整理するなら光年、観測から見えないものを推定する例ならダークマターも関連します。

関連する言葉から理解を広げる

宇宙・時空の用語8選では、関連する概念を具体例と一緒に比較できます。

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