活性化エネルギーとは?反応が進む前に越える「山」を考える

エネルギーを放出する反応でも、始まるまでにきっかけが必要なことがあります。活性化エネルギーは、反応の進みやすさを考える際に登場するエネルギーの尺度です。出発点と到着点の差だけでなく、途中の山へ目を向けます。

下り坂でも、途中に峠がある

低い谷へ行きたいのに、手前に峠がある道を想像してください。到着点が低いことと、途中を越えやすいことは別です。反応のエネルギー図でも、反応物と生成物の間に山を描いて説明することがあります。

この山は、分子が本当に地形を登るという意味ではありません。反応が進む過程の状態を、エネルギーの高さとして表した模型です。

活性化エネルギーと反応熱を比べる

架空の一段階反応で、出発点を0、山頂を60、到着点を−20 kJ/molとします。順方向の障壁は60、逆方向は80、始点と終点の差は−20です。

「20だけエネルギーを放出する」ことから「簡単に反応する」とは言えません。途中の60という障壁は、別の情報だからです。数値は説明用で、特定の物質の実測値ではありません。

温度を上げると、何が変わる?

分子集団には、さまざまな運動エネルギーを持つ分子が存在します。温度が上がると分布が変わり、反応へ進める衝突の割合などが増えることがあります。ただ衝突すればよいわけではなく、分子の向きや反応経路も関わります。

そのため、温度だけであらゆる反応速度を同じ倍率にできるわけではありません。「10℃上がれば必ず2倍」のような一律の覚え方には条件が必要です。

アレニウスの式は、温度と速さを結ぶ

反応速度定数kの温度依存性を、k=A exp(−Ea/RT)という形で近似するのがアレニウスの式です。Eaが活性化エネルギー、Tは絶対温度、Rは気体定数、Aは頻度因子です。

ここでは数字を暗記するより、EaとTが同じ役割ではないと分かれば十分です。実測データから求めるEaは、複雑な反応では単純な一つの山の高さとそのまま一致するとは限りません。

触媒は、別の経路を用意する

触媒は、より進みやすい反応経路を提供します。先ほどの模型で山頂が30になれば、順方向の障壁は30、逆方向は50です。始点0と終点−20は変わりません。

「山を低くする」と「谷の深さを変える」を分けると、触媒が平衡の位置を変えずに到達を速めることも理解しやすくなります。反応の名前を覚えた後に、速さと最終状態を別々に考えるための言葉です。

参考資料

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