オイラー標数は、図形を頂点・辺・面などへ分けたとき、それらの数を交互に足し引きして得る位相的な量です。曲面ではχ=V−E+Fが入口になり、立方体の表面なら8−12+6=2になります。
読み:おいらーひょうすう / 英語・別名:Euler characteristic Euler number オイラーの多面体定理
細かく分けても、差し引きは変わらない
立方体の一つの面に対角線を引くと、辺が1本増え、面も1枚増えます。V−E+Fでは−1と+1が打ち消し合います。辺の途中に頂点を追加しても、頂点と辺が同時に増えます。適切な分割を変えても値が保たれる、という直感を得られます。
表面を数えるのか、中身も数えるのか
立方体の表面は球面と同相なのでオイラー標数は2です。しかし内部を含む立方体を三次元の空間として数えるなら、三次元のセルの数も引くので8−12+6−1=1になります。見た目の同じ立方体でも、対象が表面か中身込みかで違います。
「多面体はいつでも2」とだけ覚えると、穴のある表面や中身を含む対象で混乱します。頂点や辺を数える前に、どこまでを空間として含めるかを決めることが先です。
球面とトーラスを区別する
連結で境界のない向き付け可能な曲面では、種数gを使ってχ=2−2gと表せます。球面はg=0で2、トーラスはg=1で0です。持ち手が増えるほど値が2ずつ下がる、という対応があります。
この式はすべての図形へそのまま適用できる公式ではありません。境界がある場合や非向き付け可能な曲面では条件が変わります。たとえばクラインの壺もχ=0ですが、トーラスとは向き付け可能性が異なります。
同じ値なら、同じ空間?
オイラー標数が異なれば、適切な対象では同相でないと分かります。しかし値が同じだから同相とは限りません。顔写真の身長が同じでも同一人物とは限らないのと同様、区別に使える特徴と完全な分類は別です。
ホモロジーからは、各次元のベッチ数を交互に足し引きする見方も得られます。難しい計算に進む前に、細分したとき何が増えて何が相殺されるかを実際に数えると、単なる暗記の式から一歩進めます。