フラクタルは、細かな尺度まで複雑な構造が続く図形や集合を捉える考え方です。自己相似や、整数ではない次元がよく登場します。ただし、自然の模様がすべて無限に同じ形を繰り返す、という意味ではありません。
読み:ふらくたる / 英語・関連表記:fractal self similarity 自己相似
目次
コッホ曲線を、短い規則で作る
一本の線分を三等分し、真ん中を正三角形の山の二辺へ置き換えます。これで、元の長さの1/3の線分が4本になります。同じ操作を各線分へ繰り返すと、コッホ曲線の段階的な図ができます。
一段ごとに全長は4/3倍になります。一方、細部を構成する線分は短くなります。有限回だけ描いた画面の折れ線と、操作を無限に続けた数学的な極限は、区別して考える必要があります。
次元は、座標の本数だけではない
相似な小部分N個で全体を構成し、各部分の縮尺が1/rなら、相似次元をlogN/logrで考えられる場合があります。コッホ曲線ならlog4/log3で、約1.26です。
この1.26は、時間を含む「1.26個の方向」があるという話ではありません。拡大率に対して、細部の数がどう増えるかという尺度です。平面の中へ描ける図でも、図形の複雑さを別の次元で測れます。
自然では、似方にも範囲がある
海岸線や枝分かれなどは、尺度を変えると似た特徴が見える例として紹介されます。しかし自然の形には原子の大きさなどの限界があり、あらゆる倍率で厳密に同じ形が続くわけではありません。
測定では、箱の大きさを変えて、図形を覆う箱の数を調べる方法などがあります。狭い範囲の測定だけで直線が見えたからといって、全尺度でフラクタルだと断定しないようにします。
フラクタルとカオスは、何が違う?
フラクタルは主に幾何や尺度の構造、カオスは主に時間変化の性質を捉えます。静止した図形にもフラクタルはありますし、複雑な図を眺めただけで、背後の時間変化がカオスと分かるわけでもありません。
ストレンジアトラクターでは、二つの話が出会います。図形としてどんな細部を持つかと、状態がどう動くかを別々に質問すると、格好いい言葉同士を混同せず楽しめます。
フラクタルとカオスの違い
| 観点 | フラクタル | カオス |
|---|---|---|
| 主な問い | 拡大した形や尺度の性質 | 時間とともに状態がどう変わるか |
| 例 | コッホ曲線の細部 | 初期値の差が成長する運動 |
| 関係 | カオスのアトラクターに現れる場合がある | すべての複雑な模様と同義ではない |
フラクタル模様を見つけただけで、その対象の時間変化がカオスだと結論することはできません。形と運動のどちらを調べたかを分けます。