ブロッケン現象とは?霧の中に現れる巨大な影と、光の輪

山の霧に、自分に似た大きな影が浮かぶ。頭の周りには色の輪が見えることもあります。ブロッケン現象は、太陽・観察者・霧の位置関係から理解できる光の現象です。巨大な影と色の輪を分けて考えてみましょう。

太陽を背にして、霧を見る

基本の配置は、太陽が後ろ、自分が中央、雲や霧が前です。自分が遮った光による影が、霧や雲の側に映ります。山の上だけでなく、飛行機から雲を見下ろしたときにも、機体の影と光の輪が見られることがあります。

巨大な人がいるのではなく、距離の手がかりが少ない

霧には建物や木のような大きさの物差しがありません。影がどこに映っているか、どれほど遠いかをつかみにくく、遠近感によって大きく、ゆがんで見える場合があります。

ここで思考実験をしてみましょう。同じ影を、目盛りのある平らな壁と、奥行きが分かりにくい霧に映したらどうでしょう。影の大きさだけでなく、周囲の比較対象も印象を変えるはずです。これは見え方を考えるための作例です。

色の輪は「グローリー」と呼ばれる

水滴によって後ろ向きに戻ってくる光の波としての振る舞いが、色の輪に関わります。WMOの国際雲図帳では、この輪をgloryと呼び、太陽と反対の方向を中心に見えると説明しています。

ブロッケンの巨影とグローリーは、いつも同じ言葉で扱われるわけではありません。WMOでは、近くの霧に大きく見える影を、色の輪の有無によらずBrocken spectreと呼んでいます。影を作る遮光と、輪を作る散乱・回折の働きを区別すると整理できます。

隣の人にも、同じ輪が見える?

太陽の反対方向は、観察する人の位置を基準に決まります。二人が並んでいても、光が自分の目に戻る方向をそれぞれ見ています。「二人で一つの物体の輪郭を見ている」とは違うのが面白いところです。

写真では、カメラの位置から見える輪が記録されます。風景のどこかに固定された円を、そのまま撮影したと考えない方が仕組みに近づけます。

虹や蜃気楼と、何が違う?

虹も水滴と光による現象ですが、見える角度や光の経路が異なります。蜃気楼は、層によって屈折のしかたが違う空気の中で、遠くの像が変形して見える現象です。「不思議な景色」という共通点だけで同じ仕組みにまとめないことが大切です。

目に見える巨大な影から、光の向き、水滴、観察者の位置へと問いを分ける。それだけで、怪異のような名前が、観察のための言葉に変わります。

参考資料

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