「相手が譲ってくれればよい」と二人とも考えた結果、両方が困る。チキンゲームは、一方だけが強硬なら有利になる一方、双方が強硬だと大きな損失を受ける構造です。勇気や性格を分類する用語ではありません。
一つの設備を、二人が同時に使いたい
二つのチームが同じ設備を予約したいとします。双方が譲らなければ調整が決裂し、今日はどちらも使えません。一方が譲れば他方が利用できます。両方が譲歩すれば、短時間ずつ使う案が成立するとします。次の点数は「自分の希望が通る価値」と「決裂の損失」を説明用に置いたものです。
| あなた\相手 | 強硬 | 譲歩 |
|---|---|---|
| 強硬 | −5、−5 | 3、0 |
| 譲歩 | 0、3 | 2、2 |
相手が譲歩すると分かっているなら、自分は強硬に出ると2点ではなく3点を得ます。一方、相手が強硬なら、自分は譲歩して0点にする方が、両方強硬の−5点よりましです。相手の行動によって最適な選択が反転します。
二人とも譲歩する結果は、なぜ不安定?
譲歩・譲歩は合計4点で、この表では全体にとって最もよい結果です。しかし相手の譲歩を固定すると、自分だけ強硬へ変えて3点に増やせます。そのため、この組み合わせはナッシュ均衡ではありません。
純粋戦略の均衡は、強硬・譲歩と譲歩・強硬の二つです。強硬な側だけが有利なので、どちらが譲るかという対立が残ります。「安定している」と「公平である」を分けて考える必要があります。確率を使う混合戦略の均衡もありますが、同時に強硬策を選ぶ可能性を残すため、決裂の危険をなくす解決ではありません。
囚人のジレンマとの違い
囚人のジレンマでは、相手が協力しても非協力でも、自分にとって非協力が得という利得の並びになっています。チキンゲームでは、相手が強硬なら自分は譲歩した方が得です。「協力しにくい」という印象が同じでも、最適反応は異なります。
また、二人が同じ入口で待つ調整ゲームでは、選択を一致させたいと考えます。この設備の例では、一方の強硬に対して他方の譲歩が対応します。日常の交渉がどの型になるかは、実際の選択肢と評価を調べるまで決まりません。
「絶対に譲らない」より、ルールを変える
強硬な約束で相手の譲歩を引き出そうとすると、相手も同じ約束をしている場合に損失が大きくなります。このモデルから、威圧すれば成功するという実用的な保証は得られません。
今日と明日の交代制、利用枠の分割、同時予約を防ぐ仕組み、別の設備の確保なら、元の二択や利得表そのものを変えられます。例えば今日はA、明日はBと決めるなら、二日間の利益と約束が守られる見込みを評価する必要があります。今の表の中で勝つことと、双方が受け入れやすい表へ変えることを区別します。
考えてみよう:譲歩した側にも1点を与えたら?
相手が強硬なら1点の譲歩が−5点の強硬より有利で、相手が譲歩なら3点の強硬が2点の譲歩より有利なままです。数字を一つ改善しても構造は必ずしも変わりません。どの組み合わせから誰が変更したくなるかを確認します。
参考:Stanford Encyclopedia of Philosophy:Prisoner’s Dilemma(他のゲームとの比較)。本文の数値・日常場面は、特記のない限り説明用の作例です。